中型~大型のサドルバッグは数あれど、作り込まれて揺れにくいものは少ない。更に、シートポストの出しろが小さくても使えるタイプとなると、かなり数が絞られてしまう。
そんな悩みを解決するサドルバッグが、アピデュラ(Apidura)から発売された。新型のバックカントリーシリーズの、サドルバッグ6L だ。
<目次> 1.スペック 2.各部詳細 3.使用感 3-1.揺れにくい 3-2.シートポストが出てなくてもOK 3-3.機能性十分 3-4.耐久性は不明 4.まとめ
1.スペック
アピデュラ(Apidura)は言わずと知れたバイクパッキング用バッグの人気ブランド。少しでもバイクパッキングについて調べれば、この蜂のマークは目にするだろう。
アピデュラは様々なサドルバッグをラインナップしていて、この「バックカントリーシリーズ」はオフロードでの使用を念頭においたアピデュラ最新のラインナップだ。展開は6Lと4.5L。僕が使っているのは大きい6Lの方。
アピデュラの他のバッグラインナップについては、こちらの記事をご覧頂きたい。
・サイズ:6L ・重量:実測284g(公称290g) ・価格:18,350円(税込み) ・商品ページはこちら
実測重量は284g。公称より6g軽い。
市場の他製品との比較で、6Lという容量から言えば特別軽い訳ではなく、平均的かやや軽いくらいだろうか。軽量さをウリとするアピデュラの中で、耐久性を重視したというのを考えると妥当かな?
(↑)Alternative Bicyclesさんのサイトより引用
寸法はこんな感じ。内容量に合わせてバッグの長さが変わるけど、そのMAXとMINを記載いているのも有難い。体感ではMAX:6L、MIN:4Lくらい。
2.各部詳細
アピデュラの「バックカントリー サドルバッグ6L」の各部を詳しく見ていこう。
*日常的に使用しているので、汚れがあるけど悪しからず……。
グレーとブラックの生地を貼り合わせた本体で、シンプルでかつお洒落なデザイン。
世界初のX-PACを貼り合わせた成形をしているらしい。生地感としてもしっかりしていて、オフロード重視というのも感じる。
上から。上部には荷物を取り付けられるドローコードが付いている(右上がとれてしまっていて、詳しくは後述)。
また、画像でドローコードの向かって右側には、サドルと当たる部分に補強が入っている。
下から。泥はねに晒されるポイントには補強の分厚い生地が付いていて、耐久性に重点を置いているのもうなずける。
後ろから。リアライトを取り付けられるスリットがあり、またアクセントの黄色部分は反射素材になっている。
オフロード重視でありながらも、きちんと車に対する安全も配慮しているのが嬉しい。
バッグはロールアップで開閉し、両サイドにあるバックルで締め付ける。サイドの締め付けベルトは末端が固定されており、素早く締め付けることが可能。
また、空気抜き穴があるので、締め付ける過程で自然に内部の空気を抜くことが出来てパッキングがしやすい。
内側。奥の黄色い部分は補強版で、結構分厚いプレートで補強されている。詳しくは後述するけど、揺れにくい仕組みの根幹をなす部分でもある。
ちょっと見づらいけど、下側の黒い部分に2つ空いているのが空気抜き穴。バッグ下部のベルト根本に空いている。
バイクに取りつけるとこんな感じ。取り付け方法は付属するカードに書いてあるけれど、サドルレールとシートポストにベルトを巻く一般的なタイプだ。
ただし、この手の大型サドルバッグは取り付け方法が超超大事。そのノウハウについて詳しくはこちらの記事でご紹介しているので、正しく性能を発揮するためにも合わせてご覧頂きたい。
3.使用感
続いては、実際に使ってみた使用感をいろいろと。主な仕様ライドは秋田のバイクパッキング旅だ。
ブログはこちら。
3-1.揺れにくい
まず驚いたのは、アピデュラのサドルバッグの中で圧倒的に揺れにくいこと。
下の動画をご覧いただければわかると思うけど、本当に揺れにくい。
Apiduraのバックカントリー6L。
今まで使ってたサドルは特殊形状だったので、普通のに買えたら安定感がかなりUPした。
特に技は使わず、普通に取り付けてこれです。6Lほぼフルで入れてます。 pic.twitter.com/qEj7P4nxHN
— S.K. (@r0adbike_sk) August 19, 2021
大型サドルバッグの大きな欠点に「揺れて走行感が悪くなる」というのがあるけれど、このバックカントリーサドルバッグはかなり揺れにくく作っている。
一見するとシートポスト部分の固定が華奢で揺れやすそうなんだけど、内部の固定プレートが頑丈なお陰で、しっかりとバイクに固定できるのだ。過去のアピデュラのサドルバッグと比較してもかなり揺れにくいと思うので、揺れに悩む方には試していただきたい製品。
3-2.サドルの出しろが短くてもOK
そして、サドル高が出にくい日本人に嬉しいのが「シートポストの出しろが短くても取り付け出来ること」。
実はこのバックカントリーシリーズ、オフロード界隈ではスタンダードとなったドロッパーシートポスト(走行中に高さ変更が出来るやつ)にも対応できるように、あえて取り付けにスペースを要しない設計にしてあるのだ。
今までシートポストが出ておらず大型サドルバッグをうまく取り付けられなかった方にも、このアップデートは非常に有用なのではなかろうか。
従来のサドルバッグ(画像はエクスペディション9L)は、シートポストが20㎝くらい出ていないとピッタリと取り付けできなかった。フレームにもよるけれど、最低でも身長175㎝以上だろうか。
その点、バックカントリーシリーズのサドルバッグは、シートポストが出ていなくても正しく取り付けできるのが良い。これはサドル高を変更できる「ドロッパーポスト」に対応するために構造なんだけど、結果的にフレームの小さい方にも嬉しい仕様になっていると思う。
ざっくりとした測定だけど、サドルレール~リアタイヤまでのクリアランスも約12㎝あれば大丈夫そうで、僕のバイクだとサドルを目一杯下げても十分余裕があった。
3-3.機能性も十分
ここまで取り付け云々の話を中心にしてきたけど、もちろんサドルバッグとしての性能も十分良い。
先述の通り、空気抜き穴や末端処理のいき届いたベルトなど、使う上で必要となる機能を網羅している。
また、バッグ上部についているドローコードでウェア等を縛っておけるので、ツーリングでも非常に使い勝手が良い。この部分も含めれば、実質7~8L程度の容量があるといっても良い。
ベルトに関してもう少し語らせていただくと、バッグの開閉で使用するベルト(上の画像で手に持っているやつ)の末端が、バックルで固定されているのが良いなと思った。
というのも、このベルトは内容物が変わる度にしっかりと締めなおす必要があるもので、比較的頻繁に操作するベルトだ。
そのベルトの末端がこの仕組みだと何もしなくとも末端処理がされて楽だし、更に「ちょっと長い設計」によって画像の様に引っ張る部分が常に浮いているため持ちやすい。凄く細かいけど、この仕組みは気に入った。
防水性も十分高い。雨の中を走っても浸水しないので、濡らしたくない着替えや電子機器も安心して持ち運べる。世界初の新技術というX-PACの張り合わせも大丈夫そうだ。
3-4.耐久性に関しては不明?
ちょっとマイナスな点を書くと、使用中に強めにドローコードを引いた際、ドローコードの固定部分が一か所取れてしまった。
僕がちょっと引っ張りすぎたのかも知れないけど、常識的な範囲だとは思うので残念なポイントだ。このままでも支障はないのでこのまま使用するつもりだけど、耐久性を謳うからには壊れてしまうのは心もとない。
もっとも、重要な本体部分は他のバッグより分厚い生地を使用しているし、サドル裏やバッグ底部などの補強もあるので、全体として気を遣って作られているのは変わりないのだろうけど。
4.まとめ
以上、アピデュラの新作サドルバッグ『バックカントリー サドルバッグ6L』をレビューしてみた。
揺れにくい固定力や、ドロッパーポスト対応によって副次的に生まれた「サドル高が低くても使える設計」は、日本人にとってとても嬉しい機能ではなかろうか。
基本機能も十分高く、バイクパッキング旅やロングライドにもおすすめ出来るサドルバッグだ。
おわり