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【インプレ・レビュー】『FLR:F-70』高コスパでおススメのSPDシューズ!

プロも使用する高い品質と、消費者に優しい低価格を実現したサイクリングシューズブランド『FLR』。

そのSPD用ラインナップのミドルクラスに位置するのが、今回ご紹介する『F-70』というモデルだ。ダイヤル式、適度な剛性のナイロンソール、1万円台中盤の価格と、コスパ良く幅広くおススメできるシューズである。

この記事では、ハイエンドモデルの「F-95X」との比較も交えながら、F-70のインプレとレビューをしていきたい。SPD-SLなどに対応するロード用のモデルも同様の作りでラインナップされているので、ロードバイク用で探している方にも参考になればと思う。

<目次>
0.はじめに
1.製品スペック
2.各部詳細
3.使用インプレ
3-1.幅広なサイズ感
3-2.適度な剛性感
3-3.歩きやすさはまあまあ?
3-4.オフロードでの使用感

4.ハイエンドモデル「F-95X」との比較
4-1.スペック上の違い
4-2.ソール剛性7と14の差とは?

5.まとめ

0.はじめに

本題に入る前に1つだけお断りを。それは、この製品はライトウェイさんから提供を受けているという点。

僕のブログは『いちユーザー目線で、良いこと悪いことを正直に書く』というのをモットーにしているので、この記事でも正直なレビューをしていく。ご提供を受けた品ではあるけど、記事を書くにあたってライトウェイさんにもその点を了承して頂いていることを、はじめにお断りしておきたい。

 

1.製品スペック

まずは製品の概要からご説明していきたい。

スペック

・ソール剛性:7/14(グラスファイバーインジェクション・ナイロンソール)
・A-topダイヤル×1
・重量:358g(サイズ43実測片足平均)
・カラー:ブラック、ネイビー、イエロー
・サイズ:EU40~45(1サイズ刻み)
・価格:15,400円(税込み)
・日本公式サイトはこちら

 

「FLR」というブランドについて詳しくは、ライトウェイさんのインタビュー記事が分かりやすいのでそちらをご覧いただきたい。特徴を簡単にまとめると、

・ワールドツアーのプロ選手にも提供する高い技術
・アジア人にフィットしやすい幅広設計
・自社での企画~製造により低価格を実現

という感じ。ブランド誕生は2009年と比較的新しいが、その品質の高さは実績が物語っているところだろう。

実測重量は、サイズ43で平均358g(もう片足は360gだった)。

価格帯が25,000~30,000円の軽量SPDシューズには300g位のものもあるけど、15,000円という価格帯で考えると十分軽量。

*他のブランドも含め、カタログ重量は大抵サイズ42で記載されている。1サイズアップすると10~数十g重くなるので、比較の際はその点も留意して頂きたい。

 

2.各部詳細

続いてはF-70の各部を詳しく。

つま先にベルクロが1つ、中間~足首側にA-Topダイヤル1つ。それぞれで締め具合を調節できる仕組みだ。

ハイエンド系はダイヤルが2つのものが多いけど、僕個人的にはこっちの方が足に合わせて締められるし、見た目も好み。

前から。つま先がオフロード用シューズらしく補強をされている。

ベンチレーションもロードモデル同様に開いているので、通気性にも気を遣った仕様。

踵には側面に補強と、反射素材のドットが入る。足に反射材を付けると凄く目立つので、この配慮は凄く良い。

シューズのかかと部分が結構高い作りで、足をしっかりホールドしてくれる。

ソールはこんな感じ。ナイロン製のソールに、滑り止めのゴムが貼り付けられている。ソールの剛性は7/14で、ハイエンドのカーボンソールと比較すると剛性を抑えた作りだ。とはいえ持ってみると結構ガチガチで、手で曲げようとしてもソールがしなる感じは全くしない。

つま先付近にはスパイクを取り付けられる穴も開いていて、スパイクピンも付属。

ピンは4つで18g、ひとつ当たり4.5g。

片足では+9gなので、もし取り付けるなら片足平均367gということになる。

 

3.使用インプレ

では、実際に使用しての感想をいろいろと。

3-1.幅広なサイズ感

まずはサイズ感。僕は43を履いている。

FLRの特徴でもある『幅広・甲高』というのを足を入れたときから感じることが出来て、窮屈感のないフィット感である。

僕の足は典型的な日本人よりは若干幅が狭いけど、欧州の靴型だとやっぱり幅が気になる。他のシューズのサイズは、シマノ(ノーマル)、ノースウェーブ、SIDI(幅広な5-Fit MEGA)、FiveTenで、これらは全て43。FiveTenはなじむまで幅と高さがちょっと気になった。Fizikは44を買ってみたけど、幅が良いけど長さが緩い。

(↑)左から、FLR、シマノ、ノースウェーブのサイズ43。

で、FLR:F-70の43はどうかというと、これらの靴の中でも一番くらいに幅が広く、足の甲~指の付け根にかけて空間がある。また、長さに関してもちょっと大きめ?なのか、シマノの43よりもつま先にも若干のゆとりを感じる。

バイトでシューズのご案内をしてきた経験から言っても、この足型なら大抵の日本人は大丈夫なはず。あくまで感覚だけど、2E+α位の広さ。

 

全体的なフィット感としても、ダイヤルとベルクロで自分の足に合わせて締め込みを調節できるのでいい感じ。詳しくは後述するけど、ハイエンドのF-95Xよりも違和感なく馴染みやすいホールド感だと思う。適度なゆとりと硬さで快適性も十分。

 

3-2.適度な剛性感

サイクリングシューズのソールは、目的や好みによって素材と剛性を変えて設計されている。F-70のソールはナイロン製で、レース用で使われるカーボン製よりも若干ソール剛性を落して快適性を上げた仕様。

とはいえ、普通の靴の感覚からするとガチガチだし、意図的に力をかけても殆どしならないくらいには剛性がある。それなりに踏んでも力が逃げる感触はしないし、サイクリングやロングライド用途ならこれと言って不満はない。

実物をみるまでは、カタログの「剛性7/14」という数字の印象から結構柔らかいのかな?なんて思っていたけど、結構カチカチだと思っていた方がいいと思う。

 

3-3.歩きやすさはまあまあ?

2穴SPDシューズのメリットに、「クリートが出っ張らないので歩きやすい」というのがある。ロードバイクでもこの歩きやすさを重視してSPD-SLではなくSPDを使う方も多いだろうし、僕もその一人だ。

(↑)出っ張りの少ないスピードプレイでも、3穴のSPD-SLシューズだとつま先が上がる(左)。SPDならクリートが地面につかないので、自然な足つき(右)。歩行時にガチャガチャ煩くもない。

クリートが出っ張らず、ソールのゴムも結構グリップが効くので比較的歩きやすいけど、先ほど書いた通りソールがしならないのでスニーカーの様には歩けない。例えば(↑)画像のFizikのTerra X2はスニーカー感覚で歩けるので、こういったシューズと比べれば相当劣る。

とはいえ、僕は輪行でも撮影でもこのシューズのままで全くストレスを感じないし、観光とかで長時間歩かないのであれば必要十分な歩行性能だと思う。

「輪行しつつも、走るときはちゃんと走りたい」というライドや、「ロードバイク程ガチでは走らないグラベルライド」とかには、この感触はピッタリなんじゃないだろうか。

 

4.ハイエンドモデルF-95Xとの比較

最後に、ハイエンドモデルのF-95Xとの比較をいろいろと。

F-95Xのレビュー記事はこちらに書いてあるので、詳しくはリンク先からどうぞ。

 

4-1.スペック上の違い

F-95XとF-70 のスペック上の違いは、ざっくり書くと

・ダイヤルの個数(F-95X:2個、F-70 :1個)
・重量(F-95X:330g、F-70 :358g)
・ソール剛性(F-95X:14カーボン、F-70 :7ナイロン)
・価格(F-95X:30,800円、F-70 :15,400円)

という感じ。

F-95Xがレーサー向きに作られているのに対し、F-70はもっと一般的なサイクリストをターゲットにしている。

「ハイエンドの方が良い」と盲目的に考えてしまいだちだけど、ロングライドメインの僕からすると、F-70の方が良いと感じる点も実は多い。

ダイヤルの個数はフィット感にも影響するけど、僕個人的にはつま先を独立して絞めこめるF-70の方が調節しやすいと感じた(多分僕の足型によるものだと思うけど)。重量はもちろん軽い方がいいに決まってるけど、片足28gの差に15,000円と考えると、F-70がかなり魅力的に見えてくる。

一方、いちサイクリスト目線でF-95Xが勝っていると感じる点は、ソールのラバーパーツが着脱可能ということ。

このパーツは歩行によって擦り減ってしまうものだけど、シューズと一体なのでシューズを丸ごと買い換えないといけなかった。その点、F-95Xはパーツだけを買い替えればよく、長期使用にも耐えられる使い勝手なのが良い。

 

4-2.ソール剛性7と14の差とは?

F-70とF-95Xの決定的な違いの1つがソール。

このソール自体はロード用のSPD-SL対応のモデルも同じラインナップで、「剛性7」のナイロンと「剛性14」のカーボンが用意されている。

両方使った感触からいうと、正直「剛性指数が倍になるほど違うのか?」と疑問に思うくらいだった。確かに違いはあるんだけど、「ナイロンはカーボンの剛性の半分」と単純に捉えると誤解を生んでしまうだろう。感触的な硬さは、カーボンを14としてぐにゃぐにゃを1とするなら、ナイロンは10~12くらいの感じ。

カーボンはとにかくカチッとした踏み心地で、ペダルからの感触もダイレクトに伝わる。ペダリングからクリートの着脱に至るまで、全体的に「バシッ」「ギチッ」「ガチッ」という擬音語が似合う。

その一方、ナイロンは「パシッ」「キチッ」「カチッ」というように、角が取れたようでどこか柔らかい印象が強い。

この差が反応性とか、足裏の感触の柔らかさとかに繋がっているのだろう。タイム重視でガシッと走りたいならF-95Xがいいと思うし、もう少しツーリングよりならF-70がいい。普通のサイクリストなら、F-70と同じナイロンソールが良いんじゃないかなあと思ったり。

個人的には、やっぱりカーボンソールの踏み心地が好きだけど、現実的にはナイロンのモデルが良い感じかなぁとも思う。

余談だけど、F-95XとF-70は足入れの感触も少し違う。

F-95Xは土踏まず~小指の付け根の中間が若干盛り上がった形状をしているんだけど、F-70はそういった特殊な形状は無く、普通のシューズみたい

また、設計としてF-95Xは「Pro Tour Fit」でタイトな作りなのに対し、F-70は(たぶん)「Performance Fit」で標準的なフィット感。この違いも体感できる差があって、F-70の方が若干幅が広いし甲の高さも余裕がある。(どちらもサイクリングシューズの中では幅広だけど、微妙な違いがある)

 

5.さいごに

以上、FLRの2穴SPD用シューズ『F-70』のインプレ&レビューをしてみた。

必要十分なスペックと機能を備え、日本人の足型にマッチしやすい幅広&甲高な設計。他社の同等なシューズを比較しても、15,000円という価格は正直驚きで、開発から生産まで自社で行うからこそ実現できる高コスパシューズだと思う。

ビンディングデビューする初心者の方から、足型の相性やセカンドシューズに悩む上級者の方まで、幅広くマッチするんじゃないだろうか。

F-70はF-95Xの様なカーボンソールと比較して、より一般的なサイクリングに使用しやすいモデル。この辺りの違いは、ロード用のラインナップから選ぶ際の参考にもなればと思う。

両方を持っている僕の使い分けとしては、普段のグラベルライドはF-95X、ツーリングや輪行ライドはF-70にする予定。この記事が、皆様のシューズ選びの参考になれば幸いだ。

おわり

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