最近のグラベル・ツーリング系バイクには、トップチューブバッグをボルトで固定(=ボルトオン)するためのダボ穴が設けられている場合が多い。しかし、肝心のトップチューブバッグの方はというと、ボルトオン用の穴の無いモデルが多数を占める。
そこで、お気に入りのバッグをボルトオン仕様にすべく、自作で穴を開けハトメ加工をしてボルトオン対応のバッグに改造してみた。
もちろん完全自己責任の改造なのだが、今回はそのやり方をご紹介したい。
<目次> 1.使用したバック 2.用意するもの 3.穴あけ 4.ハトメ加工 5.使用感
1.使用したバック
今回ボルトオン仕様に改造したバッグは、アピデュラのレーシング・ロングトップチューブバッグ。積載力に優れ使用しやすく、防水性も高いお気に入りのバッグだ。
これを僕のグラベルバイク、BombtrackのHOOK EXTに取り付けるにあたり、どいうしてもボルトオンにしたかった。
で、今回穴を開けるアピデュラのバッグは、独自素材のヘキサロンという生地でできている。比較的薄くて簡単に穴あけが出来る素材だったので楽に作業ができたが、お持ちのバックの素材によっては同じ様に加工が出来ない可能性があることを留意していただきたい。
また、構造的に芯となるパーツが若干干渉してしまい、理想どおりの加工が出来なかった。この辺りも、そのバッグごとに固有の構造があるだろうから、良くバッグを観察してから作業に取り掛かるのをおススメする。
2.用意するもの
用意するものは、以下のとおり。
特別に購入したのはハトメ金具で1,500円くらい。それ以外は家にあったものだけど、一応同等のものでリンクを貼っているのでよろしければどうぞ。
一番悩み、また未だに正解がわからないのがハトメ金具類だ。
そもそも「ハトメって何?」と言う方もいらっしゃると思う(というか僕がそうだった)けど、ハトメというのは穴を開けた生地のほつれを防止するために、切り口に取り付ける金属のパーツのこと。ブルーシートの端についてるあれみたいなやつ。
で、このハトメ金具にはいろいろな種類とサイズがある。
まず種類は、表側だけ綺麗にとめられる「片側ハトメ」と、裏表両側が綺麗に仕上がる「両面ハトメ」。
そして、ハトメをするためには専用工具が必ず必要で、その工具にもペンチのようなものではさむ「ハトメパンチ」と、分離した台座とノミのようなものをハンマーで打つ「ハトメ打棒&台座」。
トップチューブバックをボルトオン加工するなら、まずハトメは両方が綺麗に仕上がる「両面ハトメ」が望ましいと思う。バイク側にもバックの内側にも物が当たるし、見た目的にも綺麗だからだ。
そして、工具は必ず分離型の「ハトメ打棒&台座」が必要。ペンチのような「ハトメパンチ」だと、バックの壁部分が邪魔して取り付けが出来ないからだ。
これらの条件を満たすものを探すと結構選択肢が限られていて、「失敗しないように綺麗に仕上げたい」とか思うとそれなりに精度の出た工具が必要になり、また良い値段したりする。
最後にサイズについて。数㎜の違いなら大丈夫だと思うけど、たぶん6~6.5㎜位が良いと思う。これ以上大きいとボルトの頭がすり抜けてしまうし、小さいとボルトが通らないか、ダボ穴の位置と寸分違わず加工をしないと穴が合わなくなってしまう(多くのバイクは、ダボ穴のボルトはM4)。
これらの条件を加味した上で、どうせ1回した使わないんだからそんなに値段をかけたくもないし。。。と選んだのが、「ハトメ一撃」というやつ。
分離型でサイズもOK、片側ハトメなのが残念だけど、まあそこは妥協しよう。
今回使用したのは、正にこれ。
おススメ!という程良くはなかったけど、結果的に上手くいったし安いのでそれなりに満足はしている。
3.穴あけ
さて、道具をそろえたら早速作業開始。
本来ならば、ハトメ用の穴を開けるときは「ハトメポンチ」(さっきの工具名「ハトメパンチ」と言葉が似てるので注意)という穴あけ工具を使うんだけど、僕の場合はちょっと特殊だったのと、別に穴が開けばよいのだからとキリとナイフ、はさみを使って作業した。
まずは、キリで穴の位置決め。バックをバイクに仮止めして、ボルトの位置にキリで穴を開ける。ここで穴の位置を間違えると一環の終わりなので、慎重かつ丁寧に。
穴の位置が決まったら、キリで穴を広げていく。この状態でもM4のボルトは通るからボルトオンでくっつけることが出来るものの、バックの強度が下がってしまっているのでハトメ加工を出来るように穴を整えていく。
穴を整えるのはナイフとハサミで適当に。手元のハトメ金具のサイズをみつつ、穴の中心をずらさないように1mmくらいずつ生地を切り取って穴を広げた。
先ほども書いたけど、実はこのアピデュらのレーシング・トップチュープバックは特殊なバックだった。サイズと軽量性を両立するために、蜂の巣型のプレート芯材が入っていたのだ。
ハトメ金具とこの心材が干渉してしまいそうだった(実際干渉した)ので、一気にパンチで穴を開けるのも難しかった。こういう事情が無い限り、普通にパンチで穴を開けてしまったほうが一発で楽に仕上がると思う。
穴あけをする中心線は、(↑)の六角レンチのライン。
作業中も、何度も穴の位置を確認。バイクに取り付けて問題ないことを確かめてから、次の工程に進む。
4.ハトメ加工
穴を開けたら、いよいよハトメ金具を取り付ける。
取り付け自体は、金具をセットしハンマーでぶっ叩くだけという単純なものだが、単純ゆえに結構難しい。
というのも、正確にまっすぐ打ち付けないと、ハトメが斜めに曲がってしまい中途半端に取り付けられてしまうためだ。しかもそれを取り除くのもちょっと難しそうなので、作業は一発勝負。
なるべく綺麗に取り付けるには、まず台座を置く床は固いほうが良いらしい。テーブルの上なんかだと、衝撃が吸収されてしまって上手く加工できないんだとか。
そこで僕は外のコンクリートの上で作業した(画像はあと撮りなので机のうえ)。
と、ここでも問題発生。
トップチューブバックの壁が高く、また硬い素材で殆ど曲げられないため、ハトメ金具の打つほうの長さが足りない。。。
仕方なく、バックをひっくり返して台座の方を打つことで対応した。不安定になるので失敗する確率は高そうだけど、それ以外に手持ちの道具だと選択肢が無かったので仕方ない。
慎重にセットしたら、一思いにハンマーで叩く。ハトメが潰れた手ごたえがある。さてその出来は。。。
うん、まあ、許容範囲だろうか。
初めてでこんな悪い作業環境でやった割には、まあ普通に使えそうだし悪くない。
続いてもう片方も打ち込む。こちらも同様に許容範囲に納まった。
穴が左右にずれているのは、例の心材で真ん中に取り付けることができなかったから。これでも、ボルトを中央に寄せてとめればバックはほぼまっすぐに取り付けられるのを確認済みなので大丈夫。
バイクに取り付けてみた。
うんうん、良い感じだ!ちゃんとボルトだけで止まってるし、左右にバッグがずれてしまうことも無い。我ながらうまくいった。
ボルトオン専用にするならフレームに取り付けるベルトも切ってしまえばよいけど、他のバイクでも使えるようにあえて残している。
5.使用感
さて、実際に1ヶ月くらい使ってみた感想だけど、ボルトオンのお陰で使い勝手がよくなり壊れる感じもしないので、とても満足している。
アピデュラのこのバックは固定力の高い部類だけど、それでも細いクロモリフレームだとダンシングで膝に当たったり緩んだりして左右にずれることがあって、それが僕は許せなかった。
ボルトオンにしてしまえばその問題は一気に解決し、気持ちよく使うことが出来るので非常に良い。
最近はボルトオン対応のフレームも増えてきているので、自分の使いたいバックをボルトオンにしたい事も増えるのではないかと思う。
完全自己責任で現物あわせになる加工だけど、この情報が皆様の役に立ったなら幸いだ。
おわり