装備レビュー

超暖かい!厳冬期用ミトン型サイクルグローブ『BBB:サブゼロ2×2(BWG-35)』レビュー

冬のロードバイクでは、たびたび手の寒さに悩まされる。気温が氷点下になり手がかじかんでしまう経験は、きっと多くのサイクリストがお持ちだろう。

今回は、BBBから新発売された異色な形状のミトン型ウィンターグローブ『Subzero(サブゼロ)2×2(BWG-35)』をレビューしていきたい。厳冬期用の、超暖かいサイクリング用グローブだ。

<目次>
0.製品のご提供について
1.スペック
2.各部詳細
3.良いところ
3-1.暖かい!
3-2.意外とレバー操作できる
3-3.防水、手首が長い、反射材
4.残念なところ
4-1.インナーがずれて滑る
4-2.5本指には敵わない
5.まとめ

(0.この製品の提供について)

本題に入る前に1つだけお断りを。それは、この製品はライトウェイ様よりご提供を受けているという点。

僕のブログは『いちユーザー目線で、良いこと悪いことを正直に書く』というのをモットーにしているので、この記事でも正直なレビューをしていく。ご提供を受けた品ではあるけど、記事を書くにあたってライトウェイ様にもその点を了承して頂いていることを、はじめにお断りしておきたい。

 

1.製品スペック

では、製品スペックからご紹介していこう。

 

スペック

・サイズ:XS,S,M,L,XL
・カラー:ブラック
・その他:防水、反射材、パッド付
・価格:11,000円+税
・公式サイトはこちら

 

このグローブは、BBBのラインナップの中でも最も暖かい部類のグローブ。何といっても目を引くのは二股に分かれたその形で、一般的なサイクリンググローブとは一線を画す。

そもそも指先が冷えやすい理由の1つは、指が細長い形状であること。簡単にいうと、物体は細い程に「表面積/体積」が大きくなってしまうので、熱が奪われやすいためだ。「なら指をまとめて太くしちゃえばいいじゃん!」という発想がミトングローブだけど、保温性は高い反面、指先の自由が利かないのでサイクリングには不向き……。

そこで、ミトングローブの保温性と、自転車に乗るうえでの操作性を両立させるべく開発されたのが、この異色な形状のグローブという訳だ。(この形を「ロブスターグローブ」なんて呼んだりもする)

 

2.各部詳細

では、各部を詳しく見ていこう。

指は親指・人差し指&中指・薬指&小指、に分かれる。

このグローブは2重構造で、内部のインナーは5本指。そのため指の収まりはよく、見た目に反して装着感は割と普通。

表面は撥水素材、内部には防水透湿素材も入っているらしい。(撥水はTrioxx、防水はEurotexというBBBの独自素材らしい。)

シルバーの部分は反射素材。かなり大きい面積なので目立つ。

内部にはPrimaloft(プリマロフト)という人口羽毛が入っている。いわゆるダウンの化学繊維版で、湿気に強いのが特徴。

それもあってサイクリンググローブとしてかなりフワフワ感が強い。

手のひら側には、やや厚手のパッドが付いている。

全体が滑りにくい素材で、結構グリップ感がある。両手の親指がスマホ対応で、タッチ感度は普通に良い。グローブ自体が大きいから文字タイプはしにくいけど、簡単な操作であれば問題なかった。

手首には長いカフがついていて、ここも本体と同じく2重構造?になっているのでかなり暖かい。ベルクロで縛れるので、お好みの太さに調節可能。

内側は柔らかく短い起毛のあるインナー。外側と別体になっているので、空気の層=保温層が保たれるという訳だ。

サイズ感はBBBのサイズチャートを参考に選んでいただければ問題ないが、BBBのグローブの中では大きめに作られている。

僕はBBBのサイズチャートでM寄りのLサイズ。他にBBBのグローブでは、レースシールド(L)、コールドシールド(XL)を使っていて、Lできつくも緩くもないちょうどサイズかな?という感じ。(コールドシールドはレースシールドと併用で使うため、大きいサイズを選んでいる。)

このサブゼロ2×2はLサイズを使用しているけど、レースシールドのLを併用しても十分使えるくらいのゆとりがある。BBBの中では1サイズ大きめと思ってもいいかも知れない。

もっとも、保温力=デッドエアー(閉じ込めておける空気の層)で決まるので、暖かさを優先するなら大きめの方が間違いなく良い。大きめなのを承知のうえで、サイズチャート通り選んでよいと僕は思う。

 

 

3.良いところ

さて、この特殊なグローブだが、実際に使ってみてどうかを書いていきたい。まずはいいところから3項目。

3-1.暖かい!

何よりもこのサブゼロ2×2、とにかく暖かい。フワフワ感たっぷりなこのグローブは、普通にはめたときに「あ、暖かいな」と感じるくらい。

ミトンタイプの保温性もさることながら、本体にプリマロフトが封入されていることもあって、ダウンジャケットを着たときの感覚に似た暖かさを手に感じる。

走行時の冷たい風に当たっても保温性が健在で、「サブゼロ」という名前の通り氷点下でも問題なく使用可能だ。

具体的に何℃まで使用できるかはかなり個人差があるので何とも言えないけど、僕はー5℃くらいまでならサブゼロ2×2の1枚だけで問題ないと思う。後に詳しく書くけど、僕はフィッティングの問題で別のインナーグローブ(BBB:レースシールド)も併用していて、0℃付近であれば強度を上げると汗ばむくらい。

下りでも特に問題はないし、一般的なサイクリスト(氷点下二桁を走る人以外)は、これで満足できるんじゃ?と思う。

*もしサブゼロ2×2の保温力でも不満があるなら、あとはハンドルカバー(バーミッツが有名。僕はR250のを使用)しかないとも思う。ハンドルカバーはグローブ云々とは別の次元で暖かいので、どうしても寒い方はそちらをお勧めする。

 

3-2.意外とレバー操作できる

目を引く二股のミトン形状だけど、これが意外とSTI操作が出来る。

使用するときは、人差し指と中指をレバー側へ、薬指と小指でブラケットを握るのが基本。この形からなら、ブレーキ操作もシフト操作も問題なく出来る。

もちろん5本指のグローブと比較すれば操作のし易さは劣るけど、慣れてくればさほどストレスになることは無かった。素早いシフト操作を求めないのであれば、必要にして十分だろう。

シマノSTIで問題はないし、MTBのフラットハンドルなら違和感はより少なかった(ラピッドファイアで人差し指シフトアップは出来ないけど)。

ちなみに、レバーや人によって異なると思うけど、僕はサブゼロ2×2でのシフトアップは薬指を使って行っている。中指でやろうとすると人差し指もついてきてしまって邪魔なので、薬指をかけてやるのが具合が良かった。

 

3-3.細部もGood

細かいポイントだけど、僕が気に入っている点がいくつかあるのでご紹介。

まずは防水性であること。僕はどちらかといえば寒さには強い方なので氷点下数℃なら寒いと思うことはほぼ無いけど、0℃付近でみぞれが降ってしまい身体が濡れるとどうしても寒い。

濡れてしまうと乾燥状態に比べて25倍も速く体温が奪われてしまうので、寒い時ほどいかに身体をドライに保つかが重要。どんなに保温力のあるグローブでも、防水性がなければ冷たい雨やみぞれの前には無意味なのだ。サブゼロ2×2はきちんと防水性&透湿性がついているのがGood。

そして、手首の部分まで暖かい素材で、かつピッタリ閉められるように出来ていること。手の防寒には手首を冷やさないことも重要だけど、意外と手首が短かったり、バタバタと隙間が空いてしまったりする脇の甘い商品が多い。僕はウェアのサイズ感的に袖が短くなりやすいのもあって、手首の寒さが特に気になる。

サブゼロ2×2は十分な長さがあるうえ、素材も保温力のあるものを使っていて、それをベルクロでピッタリ閉じられる。本当に快適なので、すべての冬用グローブがこうなればいいのにとさえ思う。(笑)

最後に、大きな反射素材。冬は夜明けが遅いし暗くなるのも早いので、必然的にナイトライドが増えてしまう。また、ウェアも地味な黒系な色になりがちだ。安全にも配慮した設計ありがたい。

 

4.残念なところ

ここまで良いところを書いてきたけど、残念なポイントもある。

実は、製品の提供を受けてから、この冬サブゼロ2×2の出番はかなり少なかった。保温力や細部の作りはかなり気に入ったにもかかわらず、積極的に使用していない理由もここにある。

 

4-1.インナーがずれて滑る

僕がこのサブゼロ2×2で致命的だと思うのが、インナーがずれて「グローブの内部で手が滑る」こと。

グローブのインナーとアウターが別構造な弊害として、インナーとアウターが内部でずれてしまい、レバーをしっかり握れないのだ。アウターは滑りにくい素材なのでしっかりレバーにグリップしているんだけど、インナーとアウターの間の摩擦がそれに負けて、結局自分の手はつるつるなグローブを嵌めているかの様な感覚に陥る。

そのせいで、僕は手が疲れてしまい長時間の使用が出来ない。常にズルズルとSTIの上を手が滑っているようだし、ブレーキングの際にも結構な握力を要する。

2重構造で暖かいのは良いんだけど……手のひら側まで完全な2重構造にする必要は少ないだろうから、せめて何か所か縫い合わせてずれない様にしてほしかった。

一応の改善策として、別のインナーグローブを併用するのは効果があった(BBBのレースシールドLサイズを使用)

薄手のグローブを併用することで、サブゼロ内部のフィット感を上げて滑りにくく出来る。ただそれでも、ロングライドに使うのは厳しいかな……という感じ。

そしてもう一つ、僕のSTIの握り方の癖も大きいと思う。僕はどちらかというと、ブラケットを「押す」方向で使用することが多く、また斜め外側から包み込むように握る。要するに、グローブの滑りに弱い使い方な訳だ。

これを逆に、ブラケットを「引く」方向に力を入れたり、まっすぐ~内側から握ると、さほど滑る感じはしなかった。

 

ライトウェイさんの社員さんの使用レビューによれば、僕が感じているインナーのずれは全く気にならない様だった。

このブラケットの持ち方の癖は人それぞれなので何とも言えないけど、STIをしゃくっているポジションの方や、肩幅と同じかやや狭めのブラケット幅の方は僕と同様の意見になりやすいのでは?と思う。

 

4-2.5本指には敵わない

そしてやはり、操作性は5本指には敵わない。

ここで僕の言いたい「操作性」とは、純粋なレバー操作のし易さとかじゃなく、STIを様々な握り方をしたり、いろいろな指でレバー操作をしたり……といったバリエーションを出せないという意味だ。

仮にサブゼロ2×2と同じ保温性のある5本指グローブを用意したとすると、相当分厚くてゴツイものになるだろうから、純粋なレバー操作や装着感は同じかむしろ劣るのでは?とさえ思う。だから、普通にブラケットを握る通り一辺倒な使い方なら、サブゼロ2×2は素晴らしいはず。

(↑)例えば、これはサブゼロ2×2じゃできない。

ただし、実際にはブラケットだっていろいろな握り方をするし、レバーだっていろいろな指で操作したい。これは僕だけかも知れないけど、ブラケットの角の部分を握ってレバーを小指で操作するとか、ブレーキレバーに指を3本かけておいてブレーキングしやすくするとか……ライド中は実はいろいろな握り方をしている。サブゼロ2×2では残念ながらそれが出来ない。

また、フラットや下ハンからブラケットに移行するときも、ややもたつく。そのあたりも5本指には操作性で敵わないなと思う部分である。

 

5.まとめ

以上、BBBの厳冬期用グローブ「サブゼロ2×2」のレビューをしてみた。

特殊な形状ながら意外と操作性は違和感なくスムーズに行えるし、その暖かさも間違いない。細部の形状や工夫も非常に気に入った。手の冷えに悩まされているサイクリストにはもってこいだろうしおススメできる。

その一方で、内部での手のズレ問題やバリエーションを持たせたSTIの握りが出来ないなど、個人差がありそうなネガティブポイントもある。ここは各々相性があると思うので、ご購入の際にはご一考頂きたい。

1万円越えとやや値が張るが、それだけの機能と性能があると思う。手の冷えに悩む方は試す価値ありな製品ではないだろうか。

おわり

BBBの製品ページはこちら

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