ロードバイクに乗り出してはや5年、僕は旅先でのカメラはスマホのみで乗り切ってきた。しかし、やっぱり一眼みたいなちゃんとしたカメラが欲しくなってくることも……。
この記事では、『自転車旅したいけど、カメラ買おうかなぁ~』と考えている方へ、今『カメラが欲しい~』となっている人の考えている事を書いてみたい。
<目次> 1.スマホでもそれなりにイケる。けど…… 2.一眼が欲しくなる理由 2-1.望遠が欲しい 2-2.広角が欲しい 2-3.空気感が違う 2-4.夜も綺麗に撮りたい 2-5.タッチパネル操作が面倒 3.自転車旅とカメラの相性は凄くいいはず 4.もし興味があるなら買ってみた方がいいと思う。
1.スマホでもそれなりにイケるけど
まず前提として?なんだけど、スマホでもそれなりにいい写真は撮れる。だからこそ僕は「まあいいかなぁ~」と今までスマホのみで自転車旅を乗り切ってきたという経緯がある。
下の写真は全てiPhone8で撮ったもので、参考までに何枚かご紹介。(↓)
(僕の写真に対する評価はいろいろあると思うけど)景色が綺麗ならスマホでも普通に綺麗な写真は撮れるし、僕はこれにも割と満足はしている。それでも、一眼も欲しくなるというのがこの記事の主題だ。
2.一眼が欲しくなる理由
スマホにある程度満足しているとはいえ、やっぱり『いや~もっとこんな画で撮りたい……』とか『スマホじゃ無理なんだよなぁ……』と思う場面も何度もあって。そう思う理由を5つ、僕なりに挙げていきたい。
*この先「スマホ」は、特別カメラに特化していない機種(光学ズームはないか2倍程度、センサー類も標準的)を指して使います。スマホによっては凄いカメラ性能のものもあるけど、それには目を瞑ってください。
2-1.望遠が欲しい
まずはこれ、『望遠で撮りたい』。望遠で撮りたい理由もまたいくつかあるんだけど、大まかにいうと①立ち位置と画角調整がしたい、②圧縮効果を使いたい、の2つ。
(↑)こんな感じにポツンとしちゃう。
①については、自転車は路上で撮影することが多いという制約によって生まれる。当然、バイクも自分も路肩に位置した状態で撮影をしなくちゃいけないから、バイクと自分が同じ側にいる=バイクが大きく映る画か、バイクと自分が道路を挟んで反対側にいる=バイクが小さく映る画の、2パターンしか撮れない。
本当は背景を入れて(バイクからある程度離れた位置=反対車線から)、バイクもそれなりのサイズ感で(バイクに近い位置=同じ車線から)撮りたい。しかし、ご覧のようにスマホじゃカッコ内の矛盾が生じてしまい、どう頑張ってもそんな写真は撮れないのだ。
(↑)スマホ、(↓)一眼
写真の良し悪しは別にして、背景の階段にご注目頂きたい。階段の近さというか、『急斜面感』が強く出ているのはどちらだろうか?
②の圧縮効果はググっていただいた方が早いかも知れないけど、遠くの山がドーンと大きく写った写真や、坂道が強調された写真なんかがそれに当たる。望遠レンズを駆使して撮影することで、遠近感を少なくして迫力のある写真が撮れるのだ。
『スマホで撮ると坂道がしょぼくなる』という経験は、自転車乗りの方なら誰しも1度はあるのではなかろうか?せっかくの斜度や山岳感を出した写真を撮りたくても、スマホのレンズじゃ無理になってしまう。
2-2.広角が欲しい
今度は逆に『広角で撮りたい』という話を。
先ほど書いたように、自転車や景色の撮影は路上が多い。そして、路上から景色を撮るときは、基本的に景色のいい側の路肩から撮影することになる。となると、折角の展望があっても画角的に切れてしまって、微妙な感じになってしまう。
例えばこれは、何とか九十九折を1枚に収めるため、落ちていたブロックの破片を持ってきて、それに片足で乗りながら片手を目いっぱい上に伸ばし、限界ギリギリの高い位置から撮っている。そうやってかなりの時間と労力を割いても、右側に広がる海や道の続きは切れてしまっていて思い通りには撮れていない。
空を撮りたいときもそう。先ほど載せたこの写真だけど、バイクの見切れと空・水面の面積を意識して撮っても、これ以上広がりのある写真は撮れない。
肉眼で見たときの『うわぁ……すっげえ!』という感動が、写真に収めたときにスケールダウンしてしまう悲しさったらない。
2-3.空気感が違う
三つ目の理由はこれ、『空気感』。ちょっと言葉を変えて言うなら『ボケ感』でもある。
スマホも複数のレンズで様々なコマを同時撮影し合成したり、ポートレートモードなど自動で背景のボケを作り出したりしてくれる。しかし、そういうスマホの「人工的に作られたボケ」は平面的で、綺麗な写真ではあってもそこに「空気感」がない。
例えばこの下の2枚、同じく近くのバイクにピントを合わせて遠くの景色をぼかした仕上がりになっているが、どちらがスマホ+加工で、どちらが一眼だか分かるだろうか?
この例はあからさま過ぎるかも知れないけど、1枚目がiPhone8+ボケ加工、2枚目が一眼。
一つ付け加えておくと、iPhone8は単眼レンズで、最近の複眼レンズのスマホで撮ったボカシ画像はもっと綺麗で自然だ。それでも、スマホが作ったボカシ画像は、写真の中の立体感や空気感が一つ足りない。
技術がどうこうとかじゃなく、道具としての違いがここにあると思う(素人の僕が適当に撮ってるからこそ違いが出るはず)。
スマホは綺麗な写真を作り出してくれるけど、空間を表現しようとはしてくれない。一方で一眼は、何気なくパシャリと撮ったときでも、自分の目で見て『あ、いいなぁ……』と思ったその場を立体的に捉えて1枚に残してくれる。
2-4.夜も綺麗に撮りたい
4つ目の理由は『夜の撮影もしたい』から。これも最近のスマホはどんどん綺麗に撮れるようになってはいるけど、それでも一眼で撮った明るさ・綺麗さには敵わない。
これも上がスマホで下が一眼。実はスマホの方は普通に撮ると暗くなっちゃうから、Volt800で遠くからバイクにライトを当てて全体的に手前を明るくして撮影している。それでも、スマホ特有のノイズが出てしまう。
一眼の方は普通に撮っている。シャッタースピードを落とせばまだまだ明るくも出来るし、ノイズが入ることもない(あまりにシャッタースピードが遅いと三脚が必要にはなるけど)。
僕はナイトライドの時も多かったから、夜は夜で写真を撮りたいと思う景色もたくさんあった。しかし、スマホでは残念な思いをするだけなので、撮ろうとするのを辞めてしまった。
特に星空なんかは一眼じゃないと厳しい。自転車キャンプで星空を眺めながら横になって、「ああ、この空を一枚残せたらなぁ。」と思うことも……。やっぱり暗い中で撮影するなら一眼だ。
2-5.タッチパネル操作が面倒
最後の理由は『スマホのタッチパネル操作の煩わしさ』。androidスマホだとサイドボタンの操作のみで写真撮影が可能なモデルもあるけど、ピント対象や撮影モードを切り替えるにはタッチパネルの操作が必要になる。
自転車ではロングフィンガーのグローブをすることが多いし、指切りグローブの季節は汗で画面が濡れて正確なタッチ操作ができなくなる。
特に寒いと素肌を出すことは極力避けたいので、全て物理ボタンの操作で完結する専用のカメラが欲しくなる。
一眼は当然撮影に関する操作性を追求した設計だから、グローブをしていても扱いやすい。スマホがタッチパネルである限り、この差は残り続けるだろう。
3.自転車旅とカメラの相性はいい
ここまで「スマホと一眼の比較」みたいなのを書いてきたけど、お次は「そもそも自転車旅ってカメラと相性いいよね」という話。
自転車に乗っていると、その速すぎず遅すぎないちょうどいいスピードから、いろいろなものが見えてくる。そして、距離を伸ばして走っているうちに、思いがけない感動する景色に出会うこともある。
この記事で散々ダメだししているのに、僕がスマホで写真を撮り続けてきたのは、自転車ツーリングと写真を撮ることの相性の良さ故だろう。
カメラは自転車と同じく道具を使う面白さもあるし、ちょっと走るのに疲れた時に遊べるおもちゃでもある。もちろん思い出の1枚を残すのもいいだろう。
沢山の自転車旅好きが同時にカメラも趣味にしていることが、何よりの証拠ともいえる。この辺りはカメラと自転車の先輩方が既に熱く語ってらっしゃるので、他の個人ブログもご覧いただくといいかも知れない。(笑)
4.もし興味があるなら買っておくべき
長々と語ってきたけど、最後に一つだけ。
今までスマホのみで走ってきた僕でも、なんだかんだ『自転車に乗りながら、旅先で写真を撮る』という行為を楽しんできた。スマホでも一眼でも、写真を撮るという根本的な楽しみは変わらないと思う。
自転車に乗っているからこそ出会える景色、立ち止まって撮れる場所、見えてくるもの……。それを自分なりに記録に残していくのは面白いことだ。
ただ、というかだからこそ、その面白みをより深く味わう為に、ちゃんとしたカメラを用意するのは価値があることだと思う。
自分の思い出や足跡は唯一無二のもので、あの時の景色は二度と返ってこない。その景色を1枚に表現するのなら、より深く、幅広く、自分の思い描く通りに撮れた方がいいに決まっている。
走りのスタイルは人それぞれで、趣味嗜好も異なる。だからあなたが結果ハマるかどうか僕には分からないけど、後悔の無いようにひとまず買ってみては?とだけ言っておきたい。
おわり