『自転車で登山に行く』というのは今までも何度かやっていて、凄く面白い遊びだと思っている。
今回は、気になっていた栗駒高原ライドと登山を組み合わせ、自走200㎞くらいで軽登山を計画。天候はやや怪しかったが、難易度は低いので何とかなるだろう。
腰痛のリハビリも兼ねて気楽に出発。先行きやいかに。
<目次> 1.突然の雨とナイトライド 2.いわかがみ平ヒルクライム 3.栗駒山登山! 4.グラベルによって帰宅
1.突然の雨とナイトライド
今日の予定はバイク200~300㎞、登山はコースタイム3時間半程度の軽登山。トレラン装備を中心にバイクパッキングし、折角なので一眼も持ってきてみた。
装備はこんな感じ。荷物は全てバイクに預けて、自分は何も背負っていない状態だ。補給食や水もフルにした状態で、バイク+装備が17㎏。
登山口のいわかがみ平までは自宅から120~130㎞くらいなので、午前中の登山に合わせて午前1時過ぎに出発。天気は前日までは雨続きだったものの、曇り~晴れの予報だっただので雨装備は軽めにしておいた。
暑かった夏は過ぎ去って、夜は涼しい風が吹く。気温は16℃ほどで気持ちが良い。深夜帯は国道も車が少なく、自転車的にはボーナスタイム。主要道を走るなら、この時間が一番好きだ。
久しぶりのロングライドで気分は上々、懸念していた腰の痛みもひとまず大丈夫そうなんだけど、どうにもペースが遅い。いつもと同じ感覚で走っているのに、平均で4㎞/hくらいは遅いんじゃないだろうか?原因はわからず不安が募るが、計画の余裕分でカバーできる範囲なのでひとまず進む。
……と、ポツポツと雨が落ちてきたと思ったら、次第に本降りになりずぶ濡れに。雨は降らない予報だったのでレインジャケットしかなく、早々に靴下を浸水させてしまった。ここで替えを持ってきていないという失態に気が付くも、戻れる距離じゃないので我慢して走る。
別に雨ライド自体は嫌いじゃないけど、登山の前に濡れるのはちょっと嫌だ。
ヒルクライム前のコンビニでご飯休憩&買い出しをする。やっと雨も止んできて、空が分厚い雲越しにぼんやりと明るくなってきた。
暖かいうどんをすすりながら、ハイドレーションや補給食の用意を。濡れた身体にうどんが染みる。この先は自販機もないので、余裕を持って水や補給食を買い込んでおいた。胃袋とバックを満タンにしてヒルクライムへと移る。
トレラン用の装備は自転車&登山に都合が良くて、軽いし小さくなるし、ものによっては装備を共用できる。自転車で登山に行くときの一つのポイントは、登山用装備をいかに負担なく運搬するかなのだ。
2.いわかがみ平ヒルクライム
買い出しを済ませたら、登山口にあたるいわかがみ平へと登っていく。主要な道路でもいいんだけど、以前走ったときには登山客の車もそこそこいたので裏道を使う。
夜明けの田園風景。濃い霧が立ち込めていて、不思議な感覚に陥る。ひとりぼっちの様な、誰かが近くに居る様な。
防風林のあやふやな輪郭が、田んぼの向こうに次々と浮かび上がった。何というか、The Mistの世界みたいだ。
霧は徐々に晴れていき、青空もチラ見えしたり。こんな日本的な風景の中を走るのも気持ちが良い。
標高を上げていくとこの霧の上に出ることが出来て、景色も変わっていく。澄んだ晴れなら栗駒高原の眺望もあったりで綺麗なんだけど、これはこれで悪くないか。
全く人の気配がなく、のびのびとヒルクライムをしていく。やっぱりツーリングはのんびりカメラを構えられるくらいの交通量がちょうどいい。
霧の中に入ったり抜けたり……。アップダウンを繰り返してようやく最後の九十九折に。
ここも霧で真っ白だったけど、ほのかに青空が見えた瞬間は高揚した。この雲を抜ける感覚は最高に気持ちが良い。
ふふふ、これは最高の登山が出来るんじゃないだろうか?
天候はさほど良くないはずなので、この晴れ間があるうちに登っておきたい。写真を撮りつつも、ちゃっちゃとヒルクライムをしてしまう。
いわかがみ平に到着。これからパッキングをほどいて準備し、栗駒山登山だ!
3.栗駒山登山!
バイクを停めて、靴を履き替えパッキングをし直し……とあれこれ準備。やっぱり靴下がびしょ濡れなのが痛い。足の皮がふやけてダメになってしまうので、少しでも乾かしながら作業をする。はぁ、ほんとに靴下持ってくるんだった。
登りはひとまず、一番短い中央コースから。登りのコースタイムは1時間半、難所もないし整備された道なので、普通に歩いても1時間くらいで山頂だろう。
始めはまた霧に包まれてしまっていたけれど、低木帯を抜けると……
――青空と山頂が!!
雨に打たれながらでも、ここまで走ってきて良かった。早朝のためか殆ど登山客もいない。この景色を独り占めしている気分。
時折流れるガスに包まれながら、気持ちの良い高山ハイキング。
道が本当に良かったので、せっかくトレラン装備だしと走ってもみた。これが予想以上に気持ちよくて、雲の周りを走っているかのような新感覚だった。『ロードバイク×トレラン』というのが、本当は一番良いのかもなんて思ったり。ただし、相当鍛えないと楽しむどころではなさそうだけど。
どう見ても自転車の恰好で、一眼ぶら下げて走っている変な人だったと思う。(笑)
まあそれも良し。この装備構成も結構快適で理にかなっているのだから。
この景色を見ながら、山肌を走る。
ふと立ち止まって1枚パシャリ。
そしてまた走る……。
程なくして山頂に到着!
登山口から50分くらい。余裕があるので天狗平の方にもちょっと行ってみたりしつつ、ガスも濃くなってきたので下山することにした。
下山ルートは登ってきたのとは違う東栗駒から。沢沿いのルートでちょっと距離は伸びるけど、時間に余裕もあるし登ってきた人もいたので、雨の影響も大丈夫かなと判断。
……がしかし、やっぱり昨日までの雨で登山道の状態は良くなかった。これを登り返して中央ルートに戻るのも頭によぎったけど、折角なので先へ進む。濡れた岩と泥で滑るので、一歩ずつ慎重に。
心配だった渡渉もある沢歩きの場所(↑)は難なく歩けて楽しかった。沢歩きやパックラフトみたいな、水を中心にした遊びも楽しそうだと思う今日この頃。
ただ、ここからが大変だった。泥がどんどん粘土質になって、びっくりするほど滑る。最初から泥まみれになるのを気にせずガシガシ突っ込めばよかったものを、自転車に積むのを考え中途半端に水溜まりを避けて歩いたせいで、余計に時間と体力を食ってしまった。
サクサクと進めた登りとは対照的に、慎重さを求められた下り。コースタイムとほぼ同じく1時間半ほどだった。
4.グラベルによって帰宅
再びパッキングを済ませると帰路に就く。とはいえ真っ直ぐ帰るのはつまらないので、林道を繋いであちこちへ。
特別な眺めはないんだけど、木々の間から覗く農村を横目に、連続するコーナーをすり抜けて進む。これもまた気持ちが良い。登山の後だとロードバイクの軽快さが際立って、羽が生えたような気分になるのだ。
結構いい斜度のアップダウンが続くので、登山を終えた脚にじわじわと効いてくる。あぁこの感じ、楽しくなってきた。(笑)
気になっていた数㎞のグラベルもあったので寄り道を。トンネルが印象的。
草むらから、こんにちは。
事前情報の通り適度な荒れ具合で、25cタイヤのロードバイクでも楽しめる良い道だった。やっぱりグラベルはいいな。
その後も林道を進む。案外舗装の状態が良い道が多くて走りやすかった。
距離と獲得標高が伸びていくが、時刻は15:00近く。この先は国道に出るほかないんだけど、間違いなく帰宅ラッシュ帯と被ってしまう。今朝方から想定よりも自転車のペースが悪かったのが原因か。下山も時間を食っちゃったしなあ。
結局、ふもとの無人駅から輪行。この時間ならまだ電車も空いているし、気持ちよくライドを終えようじゃないか。心配していた腰痛も、200㎞くらいなら走れそうなので一安心。ただ、まだ300㎞はきつそうな感触なのでゆっくり治していこう。
合計で、バイクが距離200㎞/獲得標高3,000m、登山も含めたスタートからゴールまで14時間程だった。トレランにもちょっと目覚めそうな、楽しい1日となった。
おわり
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