エアロポジションをとることを可能にし、空気抵抗を軽減してくれるDHバー。ロングライドを主とする僕もその恩恵を受けている一人で、平坦メインのコースならよくDHバーを使っている。
DHバーにも沢山の種類があり、僕は今までにいろいろな製品を試してきた。中でもこの「Profiledesign:Sonic Ergo 4525a」はお気に入りのバーで、使用レビューをしていきたい。
<目次> 1.4525aのスペック 2.各部詳細 3.良いところ 3-1.マルチポジションなバー形状 3-2.アームレストの調整幅 3-3.調整しやすい 3-4.アタッチメントも豊富 4.残念なところ 4-1.重い 4-2.ポジションが高い 5.まとめ
1.Sonic Ergo4525aのスペック
まずはスペックから簡単に。細かな調節機能やサイズなどは、Profiledesignの公式サイトに載っているのでリンク先からどうぞ。
Sonic Ergo4525aはエクステンションバーがアルミのタイプで、最後が「a」でなく「c」のものはカーボン製。
名前の通り「Sonicブラケット」というが採用されていて、今までの「J2ブラケット」とは形状が異なる。J2ブラケットはこんなやつで、J2ブラケットよりもSonicブラケットの方が調節幅が広くアームレストの安定感が高い。快適さが追求された設計になっている。
「4525a」と言うのはエクステンションバーの形状のことで、Sベンドとスキーベンドを組み合わせたような、新しい形をしている。手前の立ち上がりが45°、先の立ち上がりが25°らしい。さらに、先端は内側に7°曲がっている。
この独特な形状も快適性を重視した結果で、リラックス系かつマルチポジションなバーだ。
2.各部詳細
さて、続いては各部の詳細を見ていきたい。
全体像はこんな感じ。カラーは黒で、落ち着いた印象。
*グリップの辺りは擦れているだけで、本来は真っ黒。
*エクステンションバーの真ん中に付いているのは、キャットアイのライト用ブラケット「SP-13」。DHバーにVolt800等を取り付けられる。
Sonicブラケットとアームレスト。パッドはベルクロでアームレストに装着するタイプで、普通にべりべりと剥がすことが出来る。
アームレストは樹脂製だが、かなりカチカチなので撓む感じはしない。穴が大量に開いているのは細かくポジションを調節するためで、多少の角度を付けることも可能。公式サイトによれば、100通りのポジションが取れるんだとか。
アームレストの側面には、ProfileDesignのロゴが白で入っている。バイクに装着した状態でも真横から見れば目に入る位置だ(銀色のボルトは純正から交換してある)。
エクステンションバーはハンドルの上から出るタイプで、ハンドルクランプ径は一般的な31.8㎜。26.0㎜用のシムもある。エクステンションバー径は各社共通の22.2㎜なので、ProfileDesign製に限らず、お好みのエクステンションバーを入れ替えて使うことも可能。
エクステンションバーはアルミ製の4525a。この独特な形状がリラックスしたマルチポジションを作り出す。
45°と25°の2段階に折れ曲がっており、よく見ると先端が若干内側にも曲がっている。
エクステンションバーには、突き出し量調整のためのメモリが裏側に、ProfileDesignと4525aのロゴが側面に黒でさりげなく入っている。
バーの両端にはキャップが嵌まっていて、もちろんバーコンやDi2シフターなどのアタッチメントを付けることも可能。
3.良いところ
では「実際に使ってみてどうか」について。まずは良いところを4つ挙げていきたい。
3-1.マルチポジションなバー形状
何と言っても、この独特なバー形状が良い。あくまで僕個人の使用感と使用法だけど、何がどう良いのか語らせて頂こう(笑)。
まず25°の先端部分は適度にバーを握りこめる角度で、リラックスしつつも軽くパワーをかけながら走るのにちょうどいい。先の方が内側に7°曲がっているのもポイント。この7°のお陰で手首が自然な角度を保つことが出来、長時間使用しても辛くならない。
更に脱力したポジションをとりたいときは、先端部分に小指と薬指を引っ掛けるようにして持ち、両手をくっ付けるようにしている。手首を立てて高い位置に持ってくることが出来て、個人的にはこれが最も腕や肩に無駄な力が入らないポジションだ。ロングライドで中盤~後半に使うことが多く欠かせない。
逆に手前の45°部分を握ると、手が近く低い位置に来てパワーをかけたいときに良い。ロングライドではあまり使用機会はないけど、短い登りをエアロポジションのままスピーディーに抜けたいときや、向かい風が凄く強いときなんかに使う。
それぞれのポジションで何通りかの握り方が出来るし、「リラックス系のマルチポジション」を謳うだけあって本当に多彩な使い方が出来る。ロングライドでドロップハンドルの握り位置を変えるように、長距離をDHバーで走り抜くときにはこういうエクステンションバーがいいと思う。
3-2.アームレストの調整幅
アームレストの調整幅が広いのもポイントが高い。というのも、エアロポジションで快適性を維持しようとすると、アームレストの位置と角度がかなり重要だからだ。
DHバーを使う時、エクステンションバーはあくまで手を置いておく程度のもので、実際に体重が掛かっているのはアームレストの方。上半身を支え続ける訳だから、角度や前後左右の位置がしっくりこないと逆に疲れてしまう。
走っていると「あとちょっと外側にしたい」「もう少し内側に傾けたい」みたいな想いが湧いてくることが多くて、自分が快適な位置に微調整できるのは大きなメリットだ。
3-3.調整しやすい
ここまで「好みのポジションに出来る」というのをメリットとして挙げてきたけど、そのポジション調整が面倒くさかったらいちいち微調整なんてしていられないし、メリットを生かしきれない。
DHバーによっては、各固定ボルトへのアクセスが悪くて、一度アームレストを外さないとエクステンションバーをいじれないとか、ハンドルクランプ部分を調整できないとかがあった。
Sonic Ergo 4525aは、どのボルトにも個別に直接アクセス出来て、ポジションの微調整がしやすい。アームレストのパッドもベルクロ式だから、気軽にべりべり剥がしてアームレストの調節も出来る。なかなか実際に手にとってみないと分からない部分だけど、実用的で凄く嬉しい設計だ。
3-4.アタッチメントも豊富
最後に、アタッチメント類についても簡単に触れておきたい。僕は現状アタッチメント類は使わずとも理想的なポジションになっているけれど、高さが合わない場合には「ライザーキット」なるものでアームレストとバーの位置をかさ上げすることが出来る。
ProfileDesignはDHバー関係のパーツが豊富で、ライトやサイコンなどのアタッチメントもあれば、ボトルマウントなんてのもあったり。
そして、パーツが壊れたり劣化したりした際にも、ProfileDesignは補修パーツを比較的入手しやすいメーカーだとも思う。何気にそういう部分も大事だ。
4.残念なところ
ここまで褒めちぎっては来たけど、デメリットが皆無ではない。使ってみて感じた「残念なところ」を2点書いておきたい。
4-1.重い
ハンドル周りの重量増加はDHバーの宿命ともいえるが、それにしても559gはかなり重い。僕の主観では、Sonic Ergo 4525aの唯一にして最大の欠点ともいえると思う。
装備量が多くなりがちな僕にとって、総重量が559g重くなるだけなら目を瞑れる範囲ではある。ドリンクを1本追加するのと同じならまぁいいだろう。DHバーのメリットを考えれば、ほぼつけっぱなしでもいいと思えるくらい。
しかし、実際はハンドルから突き出るように559gの重りが付くから、ハンドリングやダンシングに影響が出てしまう。559gという重さ以上に、走行時の重量感は増すだろう。
それもあって、僕がDHバーを付けていくのは平坦メインのライドに限られる。平坦メインとは「100㎞あたりの獲得標高が1,000m未満のコース」というのが、いちおう僕なりの目安。
4-2.ポジションが高い
ブラケットが「Sonicブラケット」になって、ハンドルからアームレストまでの高さ(アームレストスタック)が高くなった。つまり、ハンドルポジションが同じ場合、Sonicブラケットを使うとその分DHバーが高い位置についてしまう。
(上の画像は、ブラケットを交換して無理やり下げた状態。純正のSonicブラケットは10㎜は高くなる)
ロードバイクを前提とするなら、多くの方は僕より相対的に低いハンドルポジションをとっているだろうから、この問題は無視してもいいかも知れない。先に「良いところ」で書いた通り、ライザーキットを使ってDHバーの位置を嵩上げする人も多いくらいだからだ。
一方で、僕はロングライドの為にハンドルポジションを高めに設定することが多くて、ハンドルギリギリの高さにアームレストを持ってきたい。しかし、Sonicブラケットではそれができないのだ。
仕方ないので、僕は手持ちのProfileDesignのエクステンションバーがハンドルの下から出るタイプのブラケットを流用し、DHバーの位置を強制的に下げている。
今のところ特に問題はないし快適だが、個人的には重要な変更点だったので触れておいた次第だ。
5.まとめ
以上、ProfileDesignのDHバー「Sonic Ergo 4525a」をレビューしてみた。何度も書いてきたが、リラックスしたポジションを複数とることができ、非常に快適なDHバーだ。
安心のProfileDesign製だし、ブラケットやエクステンションバーの規格は統一されているから、気に入ったパーツがあればその流用も出来る。バイクやポジションの変化に合わせてカスタムするのもいいし、既にDHバーをお持ちの方はエクステンションバーのみ買うのもアリだと思う。
『ロングライド用のDHバーの考察』という記事で詳しくは書いているけど、その快適性以外の観点からも、このSonic Ergo 4525aはロングライドやツーリング用途として優秀。DHバーの導入を検討されている方には、ぜひおススメしたい製品だ。
おわり
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