スペシャライズドの完成車に使われることが多いPraxis Works(プラクシスワークス)のクランク。Zayante(ザヤンテ)やAlba(オルバ)が代表的だろうか。
自分でメンテナンスする際クランクを外したいこともあるが、Praxis Works製品は日本語の情報が少ないので検索してもヒットしない。そこで、素人整備ではあるけど、Praxis Worksクランクの着脱方法をご紹介したい。
<目次> 1.はじめに 2.パーツリスト&工具 3.クランクの外し方 4.クランクの付け方
1.はじめに
・僕は素人です
冒頭にも書いた通り、僕はただの自転車好きでしかない。間違った情報は書かない様に気を付けているけど、内容の齟齬や作業結果は何ら保証できないので悪しからず。また、Praxis Worksのクランクでも年式や規格の違いで異なる作業が必要な可能性もある。記事の内容はあくまで1つの参考としてとどめて頂きたい。
・参考情報
この記事は、Praxis WorksのHPに載っている説明書の内容をもとにしている。もし英語が得意な方が居れば、元情報を読んだ方が正確で早いかも知れないので、先に内容とリンクを載せておきたい。(↓)

2.パーツリスト&工具
さて、早速本題に入ろう。まずはPraxis Worksのクランクのパーツリストと、着脱に必要な工具から。先ほど載せたPDFのパーツ部分を拡大すると、以下の通りになる。
左側から、
①左クランク
②28㎜ダストカバー
(BB)
③30㎜ダストカバー
④30㎜ウェーブワッシャー
⑤右クランク
という感じ。因みに、スペシャライズドのバイクならBBは専用規格の「OSBB」が付いている。これはほぼBB30/PF30で、使用するダストカバーは②と③ともに2㎜厚のもの。
そして、着脱に必要な工具は以下の通り。
・8㎜アーレンキー(六角レンチ)
・トルクレンチ(50Nmを測れるもの)
BBに触らないのなら特別な工具は必要なく、一般的な汎用工具で事足りる。トルクレンチはクランクを外すだけなら必要ないけど、再度組付けをするなら必要。ロードバイクで一般的なのは5~10Nmあたりだから、50Nmを測れるものはちょっとレアかもしれない。
*実のところ、僕も50Nm測れるトルクレンチは持っておらず、感覚で締めてしまっている。感覚といっても完全な当てずっぽうでは訳じゃなく、ショップ組付け時のボルトの位置を覚えておいて締めこむ時の参考にし、かつ僕の握力が55㎏くらいなので支点から10㎝で本気で握れば大体50Nmに収まるという計算も利用してはいる。
チェーンリングも分解したい方は(↓)を参考にどうぞ。
一般的なスパイダーアームの構造だ。スペシャライズド完成車に多いZayanteやAlbaなら、PCD110㎜の5本アームなはず。
必要工具は、チェーンリングボルトの外側が6㎜、内側が5㎜のアーレンキー。トルクは8~10Nmなので、組付けの際にはそれに対応したトルクレンチも必要になる。
3.クランクの外し方
続いてはクランクの外し方を。ちょっとコツ?があるけど、基本的にはボルトをゆるめて外すだけだ。
①チェーンを外す
②左クランクのボルトを緩める
③左クランクを外す
④右クランクを外す
①チェーンを外す
チェーンリングにチェーンが掛かったままだと作業し辛いので、チェーンを外しておく。チェーンが汚れたままだと作業中に何かと汚れるので、チェーンは先に掃除しておいた方がいい。
②左クランクのボルトを緩める
左クランクのボルトに8㎜アーレンキーを挿しこみ、反時計回りに回してボルトを緩める。
ボルトを緩めてすぐは少しだけ緩く回るが、またボルトの抵抗が増す。これは説明書にも書いてある通り正常なので、そのままボルトを左回りに緩めていけばよい。
ボルトを半分くらい緩めたところで左右のクランクの結合が離れる。このとき、クランクが自重で下向きに回転するので、ぶつけたりしない様に注意。別にぶつけたところですぐ壊れるものでもないけど、反対側のクランクを手で支えておいてやるとスムーズ。
③左クランクを外す
ボルトを完全に緩めると、左クランクが取り外せるようになる。恐らくボルトを緩め切った段階で、左クランクは外れるはずだ。もし取れてなくても、そのまま引っ張れば難なく外せるだろう。
この時、左側の28㎜ダストカバーも一緒に取れるかも知れない。上の写真ではBBのベアリング部分に付いている黒いやつがそう。
④右クランクを外す
あとは、右クランクをそのまま引っ張って外す。
本来はグリスが塗ってあり普通に引っ張れば外れるはずだけど、何らかの事情で固着してしまっている場合は、反対側からゴムハンマー等で軽くたたいてやると外れる。クランクの接合部を傷つけるのは良くないので、硬いもので叩きだしてはいけない。幸い、僕のは普通にスポっと抜けた。
左クランクと同様に、BB付近の30㎜ダストカバーとウェーブワッシャーが同時に外れるかも知れない。上の写真で、バットの上に載っている左側がダストカバー、右がウェーブワッシャー。
ウェーブワッシャーは元からこんな風にうねっている奴で、壊れている訳ではないのでご安心を。
先ほど書いた通り、チェーンリングは6㎜と5㎜のアーレンキーで普通に外せる。ネジは正ネジなので左回りで緩めればよい。緩めるときは、対角線に当たるボルトを順番に、少しずつ緩めるのがコツ。
4.クランクの付け方
基本的には外すときの手順を逆にしていけば、クランクの取り付けが完了する。基本的なメンテナンスの際などは、汚れを取って新しいグリスを塗布してやればよい。
クランク取り付けの手順は
①ダストカバーを装着&グリスを塗る
②右クランクを挿しこむ
③左クランクをボルトで固定
①ダストカバーを装着&グリスを塗る
まずはワッシャー類を装着し、グリスを塗っていく。この時、使用するワッシャーの種類や向き、順番を間違わない様に注意。
まず準備するのは右側。30㎜のウェーブワッシャーと30㎜のダストカバー。ダストカバーは左側の28㎜と間違わない様に注意。また、ダストカバーには向きがあって「Praxis Works」の印字がされている側が外。
②右クランクを挿しこむ
準備が出来たら、右クランクをBBに挿しこんでいく。
上の写真では音鳴り防止も兼ねてグリスを多めに塗っているけど、汚れの元にもなるのでご自身で調節していただきたい。
外した時同様、こちらも普通に押し込めば入るはず。ウェーブワッシャーがあるので右クランクだけで一番奥まではささらない。
③左クランクをボルトで固定
あとは左クランクをボルトを締めこんで固定していく。ボルトを締める方向は右回り。
こちらも回転部分にグリスを塗っておく。
半分くらい回したところで左右のクランクの溝が嵌まるので、ちゃんと左右のクランクが反対向きに固定されるようにご注意を。
トルクレンチで48-55Nmで締めこんだら完成!チェーンを戻して変速、ガタのチェックもしておくといい。
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以上、スペシャライズド完成車に多いPraxis Worksのクランクの着脱方法をご紹介してみた。この記事が皆様の参考になれば幸いだ。
おわり