装備レビュー

バイクパッキングにおススメのテント!『モンベルのU.L.ドームシェルター1型』レビュー

U.L.(=ウルトラライト)装備は行動の自由度を一気にアップさせてくれる。

僕も専らロードバイクでバイクパッキング&U.L.で、その中核を成しているともいえるのが、今回ご紹介するモンベルの『U.L.ドームシェルター1型』だ。かれこれ50泊以上、自転車ツーリングを中心に使い倒してきた。

僕は非常に気に入っている一方で、万人にお勧めできる装備ともいえないので、僕なりの使用感・考えをレビューしていきたい。

<目次>
1.各部紹介
2.使用実績
3.いいところ
4.悪いところ
5.まとめ

1.各部紹介

まずはU.L.ドームシェルターの各部の紹介から。タイトルにも入っている通り、僕が使っているのは「1型」という最もちいさなサイズで、スペック等々も1型に絞って書いていく。

また、僕が持っているのは2018年に購入したもので、おそらく2020年4月現行品の1世代前のモデルだ。現行品とは構造が多少異なるところもあるので、その点はご了承いただきたい。

スペック
モンベルHPより引用
・ウォール数:シングル
・ポールの本数:2本(旧品は一体型)
・展開時サイズ:W90×D210×H95㎝
・収納時サイズ:本体Φ10×25㎝、ポールΦ5×43㎝
・重量:742g(ポール含む。+スタッフバックで775g)
・価格:39,600円(税込み)
・モンベル公式サイトはこちら

 

1型=1人用なので、かなりコンパクトな仕様となっている。スタッフバックに入っている状態でこのサイズ。

比較として置いているのは、750mlのサイクリングボトルとオーストリッチのL100輪行袋。名前に「U.L.=ウルトラライト」と付いているだけのことはある。テント本体はスタッフバックに余裕があるので、実際にパッキングするときは圧縮すれば右のボトルと同じくらいになる。

設営するとこんな感じ。

重量もポール・スタッフバック込みで775gと自立式シェルターとは思えない軽量さだ。それでいて展開時の室内は1人でのテント生活なら送れるサイズは確保している。

因みにこのU.L.ドームシェルターを厳密に「テント」と呼んでいいのか?というのは微妙なところで、モンベルとしてはあくまで「シェルター=ツェルトの一種」という区分のようだ。公式サイトにも『ツェルトは就寝を目的としたテントではありません。正しい使用方法を理解してご使用ください。』との記載がある。

シングルウォールのシェルターなので、フライシートはない。雨の強い中で使うなら、上にタープ等を張る必要がある。耐水圧はシェルターの屋根・壁が600㎜、床が1,500㎜。本格的なテントに比べると明らかに雨に弱い。

出入口は1か所でダブルジッパー。サイズ感的には男性が通るのにギリギリという感じだろうか。身長177㎝の僕だと、基本的に這って出入りする形になる。少々窮屈ではあるので、体格の良い方はちょっときついかも。

前述のとおり僕の持っているのは旧製品なので出入口が縦方向だが、現行品は横方向なので悪しからず。。

四端にはペグ打ち用のループと、張り紐をつけられる輪っかが付いている。しっかりした作りで、それぞれには反射素材がついている。

通気口は上側に2か所。ちゃんと雨が当たらない&塞がらないようになっている。出入り口の部分も網戸にすることが出来るので、それも含めれば3か所になる。

ポールはテント内に張る形式=インナーポール式で、小型軽量化に一躍買っている。設営するのにちょっとコツがいるが、慣れれば5分くらいで設営可能。撤収は3分くらい。

内側のベルクロでポールを固定する形式だが、固定しなくてもさほど問題ないので僕は固定せずに使うことが多い。

 

2.使用実績

僕がこのシェルターを買ったのはちょうど2年くらい前。

それから、主に自転車ツーリングでの野宿に使ってきた。気温はマイナス20℃~25℃まで、天候も全天候もっとも厳しかったのは、冬季北海道ツーリング冬富士登山の時だろうか。

*このような環境では、モンベルの推奨しない使用法だけど…。

僕のツーリングスタイルはテント泊ながら走りを重視することが多いので、のんびりキャンプというよりは「寝る」という目的のみに使っている一回当たりの使用時間は7~9時間。

また、キャンプ場のみならず道の駅等をお借りしてシェルターを張ることも多い。特に天候が良くないときは、吹きさらしで1晩過ごすには心もとないため軒先をお借りしている。閉店間際に一言お願いすれば、大抵快くOKを頂ける。

購入してから、かれこれツーリングや登山で50泊以上は使っているお次は、その中で感じた良いところと悪いところを。

 

3.いいところ

まずは良いところから。

①とにかく小型軽量

なんといっても、この製品の良いところは「超小型・軽量」である点だろう。バイクパッキングで持ち運んでも全く邪魔にならないサイズ感で、積載が限られるロードバイクでも余裕がある。持って行くバックの構成や積載の仕方が凄く自由になるので、バイクパッキングとの相性が非常に良い。

(↑)の左上の緑色がテント本体。左中段の緑色のがポール。スタッフバックに入れた状態でも潰したり曲げたりできるので、一層収納しやすい。

付属のポールもΦ5×43㎝とさほど長くないので、トップチューブに巻いたりサドルバックに括り付けたりできる。ロードバイクに積載した見た目的にも良い。

ロングボトル1本分程度のサイズなので、サドルバック、フレームバック、フロントバック…どこにでも収納できる。僕はもうこの自由さを手放せないだろう。

(↑)の写真の通り、オルトリーブの旧サドルバックLに、テント・マット・グランドシート・軽量ロングパンツが入る。このサイズ感は本当にすごい。

 

②設営場所が自由

2つ目のポイントは、U.L.ドームシェルターの特徴でもある「自立式」という点。ペグを打ったり張り紐で固定したりする必要が全くないので、設営場所を選ばない。シェルターの代表格であるツェルトは基本的にポール等を張り紐で安定させて使うし、テントにもペグが必要なものが大半だ。

使用環境でも書いたけど、僕はキャンプ場での使用だけでなく、道の駅の軒先などアスファルトの上での使用も多い。当然ペグなんて打てないし、適切な位置に張り紐を固定できるとも限らないので、シェルター単体で設営が完結するシステムが凄くありがたい(もちろん必要に応じてペグを打ったり張り紐で固定も出来る)

サイズ感も縦長でコンパクトなので「雨風を避けて壁や岩の影に張る」といった運用がしやすい。正方形に近い形状だとどうしても場所をとるし、設営スペースの確保が少々大変なのだ。U.L.ドームシェルターは木陰や軒先等の限られた雨避けポイントに設営出来るし、場所の使用許可を取るときもお願いしやすい。

(↑)の写真は、ご厚意で使っていない牛舎を貸して頂いたときのもの。省スペースかつペグ要らずだから設営出来た。また、冬季北海道などの雪上でも整地面積が減るので楽ちんだ。

 

③必要十分な広さ

シェルター内は決して広いとは言えないけど、一人でも落ち着くサイズ感でもある。スペックでも書いた通り、床面積は90×210㎝。テントの壁は斜めなので体感はもっと狭いが、僕は身長177㎝なので足元と頭の上には数㎝の余裕が、マットの左右には20㎝前後の余裕がある感じ。そのスペースに着替えなどの荷物を置いたり、濡らしたくないものをシェルター内にしまったりできる。

高さは一番高い中央部分が95㎝。天井はドーム型なので端の方が徐々に低くなっている訳だが、僕の場合シェルター内で座っても頭をぶつけることはあまりない。着替え等もシェルター内で済ませることが出来る。

…が、177㎝の僕でピッタリ(というかギリギリ)サイズなので、身長180㎝以上の方にはキツイと思うこればっかりは感覚的なものだし体形にもよるので、ぜひ実店舗で見ていただきたい。

 

④設営・撤収が比較的早い

作りが単純なので、設営・撤収もそこそこ早い。風や場所の条件にもよるけど、慣れれば5分少々で設営・3分で撤収が出来る。ただし僕の持っているのは旧型で、この話題はシェルターの構造にかなり依存してしまうから、現行製品にはあまり当てはまらないかも知れない。

実物を見ただけだが、新作の構造はより設営がしやすくなっているように見えるので、たぶんもっと良いんじゃないかな?というのが僕の見立てだ。店舗によるが、モンベルストアなら購入前に実際にシェルターを立てさせてもらえたりするので、購入前に確認してみるのが絶対おススメ。

 

⑤耐久性がある

これまで約2年間、50泊とそれなりに使い込んできたが、縫い目のほつれやファスナーの不良などは一切起こっていない。

唯一壊れたのはポールで、年越し宗谷岬の時にポール上部の連結部分が割れてしまった。とはいえ-20℃の雪中なんてこのシェルターの設計想定外だし、そもそも現行品にはその弱い連結部分が存在しない。また、連結部分が割れても付属のリペアツールで補修して(↓)そのまま3泊出来たので、許容範囲かなと思っている。

U.L.系商品には耐久性に乏しいものも多いが、このシェルターならそれなりに使えるはずだ。

 

4.悪いところ

続いて悪いところを。これは使い方次第…でもあるんだけど、僕なりの所感はこんな感じ。

①穴が開きやすい

おそらく新製品にも共通する問題で、設営時にシェルター本体に穴をあけやすい。

文章で設営の様子を説明するのは難しいが、設営時はクシャっと地面に広げられたシェルターの内側にポールを挿入するため、ポールの末端が適切な位置に当たっているか分からないままポールを押し込まなくてはならないのだ。

シェルター内側はポールの末端が当たるべき部分はガードされているが、その他の部分は弱い。ポールを適切な位置に当てているつもりでも、実際はズレていることも多く、僕はこれで5回くらいは穴をあけてしまっている(笑)

幸い、引き裂きに強い素材のお陰で一発で致命傷にはならないし、簡単に修理できるリペアツールでおススメはGear AidのTenacious Tapeで、簡単に使えるし汎用性も高く耐久性も十分ある。テントの穴はこれでふさいで2年くらい使っているけど、まだ十分機能している。クリアとブラックの両方を使ったことがあるが、機能的にはどちらでもOK、見た目的には目立たないクリアの方がおススメ。(↑)の画像はクリアで補修している。

 

②雨・風に弱い

これはウルトラライト系装備の宿命…かもしれないが、雨風に弱い。シングルウォールなので長時間雨に打たれれば中も濡れるし、設営場所が水溜まりになれば床から浸水する。

因みに耐水圧は、シェルターの屋根・壁が600㎜、床が1,500㎜。モンベルの他のテントは多くがフライ1,500㎜、床が2,000㎜なので結構な差がある。

テントの耐水圧の目安は、500mmで小雨、1,000mmで普通の雨、1,500mmで大雨なんて言われていて、僕の体感としてもそんな感じ。U.L.ドームシェルターは小雨ならギリギリ耐えられるけど、普通に降ったらアウトだ。

もし本格的な雨の中で使うなら、別途タープをシェルターの上に張るというような工夫が必要だろう。防水性の高いグランドシートも欠かせない。逆に言えば、ちゃんとしたタープを持っていて併用可能なら、あまり気にしなくてもいいかも知れない。

 

③長期滞在には不向き

U.L.ドームシェルター1型はコンパクトな反面、居住空間の快適性は低い先ほど良いところで「必要十分な広さ」と評価したが、それはあくまで「寝るという目的に対して」という意味合い。ここでいうのは「長期滞在を前提とした快適さ」の話。

僕の身長・体格(177㎝65㎏)だとジャストサイズ過ぎて、シェルター内であれこれ作業するには狭いのだ。小柄な方ならそこまで苦ではないかも知れないが、それでも快適と言えるサイズ感でないのは確かだと思う。

「一晩明かす」という使い方には必要十分だけど、例えばテント内で調理をしたり、まる1日停滞したりするには微妙だ。②で述べた雨風への弱さも相まって、長期のテント生活や長時間張りっぱなしでの運用には向いていない。一般的なキャンプや旅が目的なら、ダブルウォールでもっとゆとりのあるサイズのテントを買った方が幸せになれるはずだ。

シングルウォールなので室温調節もしづらいし、結露も多い。外気温との差をなくすために、僕は夏冬問わず窓を開け放って寝ることが多い。

 

④網戸のジッパーが外側

地味に使い勝手が悪いのが、出入り口に付いている網戸が外側からしか開け閉め出来ないこと。普通に使っていたらシェルター内にいるときに開け閉めしたくなるので、いちいちメインジッパーを開け外側に手を出して網戸を操作しなくてはならない。

実際そんなに網戸を開け閉めするシーンもないので実用上あまり困っている訳ではないが、残念なポイントではある。また、雪中で設営するとその外側の網戸に雪がたまって撤収が面倒臭い。(そもそも、モンベル側では雪中で使うな!という商品なので、仕方ないのだけど。)

 

5.まとめ

U.L.ドームシェルターは、その名の通り”超ウルトラライト”な”自立式シェルター”だ。恐らく1人用テントでは最軽量の部類

活動の主目的が「自転車で走ること」なら最高に便利な寝床になるし、流行りのバイクパッキングとの相性も良い。持ち運びに適し・どこにでも張れて・設営撤収も早い。その機動性を活かして、活動の幅を大きく広げることが出来るはずだ。

逆に主目的が「キャンプ」や「テントでまったり」なら、至らない点が目立って満足できない可能性が高い。1日の大半をテントで過ごすなら、多少重くともダブルウォールでもっと広いテントの方がいいと思う。

使い方を選ぶ製品だけど、僕は凄く気に入って使い続けているので、自分に合うと思う方には自信を持ってお勧めしたい。

おわり

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