11sMTBのドロハン化は去年にも挑戦していて、その時の方法や使ったものはこちらの記事のまとめてある。
しかし、それでは冬の北海道を走るにはすこし力不足な気がしたので、今回はWolftoothのタンパンを使ってMTBのRDと11-46Tスプロケをロード用STIで引くことにした。
<目次> 1.導入の経緯 2.Wolftoothタンパンを購入 3.取り付け 4.実走感
1.導入の経緯
冒頭にも書いた通り、以前にも僕はMTBをドロハン化して使用していた。そのドロハン化した理由の一つが「冬季北海道ライド」のためだったのだが、実際に冬の北海道で使ってみて問題点が浮かび上がった。
それが、ロー側のギア比が足りないことだ。
前回ドロハン化したときにはフロントが32tのシングルで、リアが11-34Tのスプロケだった。フロントは完成車付属を使っていただけだが、リアはロード用11sで一番ワイドレンジなギアを選んだだけだった。しかし、雪道のヒルクライムではリアが滑ることやバイクが重いことも相まって非常に辛い思いをした。僕の脚力ではロー側のギア比が足りなかったのだ。
そこで、ロー側のギア比を下げるためにタンパンを導入することにした。このタンパンというのは、ロード用STIでMTB用RDを操作できるようにするアダプタ。
ギアをワイドレンジにする方法としてはリアにMTBコンポを使う方法以外にもフロントをダブルにするのもあったが、今回は金銭面の理由により安価に済むリアのMTBコンポ化をすることに。
そうと決まれば、さっそくWolftoothのタンパンを購入!
2.タンパンを購入
早速購入といっても、日本でWolftoothの取り扱いがある場所が少ないので、購入できる場所が限られる。一応現在はAmazonや楽天にも出品されているが、なくなったり価格が安定しなかったりなのであてにはならない。
今回僕はオルタナティブバイシクルズさんから購入。Wolftoothだけでなくバイクパッキングで有名なApiduraをはじめ、ちょっとニッチで欲しくなるアイテムをたくさん取り扱っているのでワクワクしちゃう。(笑) 他には、僕は利用したことはないけど、名古屋に実店舗を構えるサークルズさんもネット販売をしているみたいだ。
オルタナティブバイシクルズの商品販売は創業者の北澤さんが担当しているようで、北澤さんと直接メールのやり取りをして購入した。国内外のレースやイベントに携わっていらっしゃるのでかなり忙しそうだったが、合間を縫って対応していただけた。商品は予想よりも早く到着。ありがとうございました!(2020/02/02追記:海外出張のタイミングによっては納期がかなり遅れてしまうこともあるようです。先に確認した方がいいかもしれません。)
タンパンには「11速」と「10速(現行のTiagraではなく、11速が出る前のモデル用)」の2種類があり、それぞれに「通常モデル」と「インライン」の2種類が用意されている。*Wolftoothのサイトによると4700系Tiagraでも「TiagraのSTI+11速RD+11速Tanpan+TiagraのCS」なら使えるらしい?
インラインかどうかはタンパンの取り付け位置の問題で、タンパンをハンドルバー付近に取り付ける場合はインラインを、普通にRDに直結させるのが通常モデルだ。インラインにはアウターケーブルに接続するためのパーツ「Ferrule」が付属しているみたい。確証はないけど、インラインアダプタが単体で販売されているところをみると、アウターとタンパンをつなぐことさえできればまずは通常のタンパンを購入して、最悪アウターとタンパンを適当なチューブでつなぐとかでも良さそうな気がする。
タンパンの取り付け位置はRD付近のワイヤールーティングで選択するようで、僕の場合は通常モデルで足りそうだったので普通の11速用を購入。
パッケージはシンプルでこんな感じ。中身は本体と説明書のリンクの載った紙。
本体の加工はしっかりしていて、それなりに値段がするだけのことはあるなと思う。中央のホイールは凄くスムーズにくるくる回る。
ワイヤーの出る方向が重要な商品なので、間違えないように狼の絵とヤギの絵が書いてある。狼がRD側、ヤギがSTI側。
そもそもなぜTanpanが必要かというと、ロード用RDとMTB用RDでギアを1つ動かすために必要なワイヤーの巻き取り量が異なるためだ。ロード用よりもMTB用の方が長くワイヤーを巻き取る必要がある。そのため、ロード用STIにMTB用RDを直付けしてもうまく動かない。
このワイヤーの巻き取り量を調整してくれるアイテムが、Wolftoothのタンパンという訳だ。
現物を見ると構造が良く分かる。
ヤギ=STIの側(画像左)が小さいホイールに、狼=RDの側(画像右)が大きいホイールにつながっていて、STIでワイヤーを引くと小さいホイール側からホイールを回転させ、その回転したホイールが大きいホイール側でより長いワイヤーを巻き取る。ここでロード用STIとMTB用シフターのレバー比を調整している仕組みだ。
3.取り付け
僕は油圧ディスク11速のST-RS505(105グレード)に、11速のRS-M7000(SLX)、CSはサンツアーの11-46Tを使った。
取り付けは至って簡単だった。普通のRDの調整が出来ればそれほど難しい作業ではないと思う。注意点などはこの記事でも簡単に紹介するけど、取り付けの詳細はWolftoothの公式ページへ(英語ですが写真も多く短い文なので読みやすいと思います)
まず押さえておくべきは各部の名称。以下の画像はWolftoothのページより引用。
取り付け前にすることは
・Barrel Adjusterをいっぱいまで締める
・Fixing Screwを緩める
の2つ。これが出来たらワイヤーを通していく。アウターはタンパンを使わないときよりも短くなるから流用も出来るけど、インナーワイヤーはもっと長いものが必要だし、癖が付いていると大変なので新品を用意した方がいい。
取り付けの方向は狼がRD側、ヤギがSTI側。
インナーをヤギの方から通して、小さいホイールに巻き、Transition Holeから大きいホイールの方へ出す。この時の注意点は
・STIはトップギアにしておく
・Fixing Screwの位置が狼の反対にくるようにする
これが出来たら、ワイヤーをピンと張ってFixing Screwを締めてワイヤーを固定。そのまま大きいホイールにワイヤーを巻きながら狼の方へワイヤーを通し、そのままRDに固定する。基本的にはこれで完了。
後は普通にRDの調整をすればOK!
ちゃんと取り付けができていれば、シフト操作の度にTanpanのホイールが少しずつ回転していくはず。当然ホイールが回転しなければレバー比の調整機能も働かず、上手く変速出来ないのでご注意を。
これといって難しいところもなく、組付け・調整が完了した。続いては実走!
4.実走感
早速ドロハンMTBで実走。メンテ台の上ではスムーズに変速しても、実際に走行してチェーンにテンションがかかった状態で変速させるとフィーリングが変わるのでちょっとドキドキ。
結論からいうと、何の問題もなくローギア(46T)からトップギア(11T)まで変速した。
ロード用RDとスプロケを使っていた時と何ら変わらずシフト操作が出来て、STIで2段同時シフトダウンさせても問題ない。いたって快適な操作感だ。当然ロード用11速に比べてかなりワイドレンジになり、ギア1枚の変速差が大きいので多少のもたつきは発生する。が、まぁそれはタンパンの性能ではなく仕方のないこと。
まだ長距離は走っていないので耐久性その他は不明だが、ファーストインプレッションとしてはとても良い製品だった。ドロップハンドルを使用しながらリアを超ワイドレンジにしたい方、WolftoothのTanpanはアリだと思います。
おわり