ロードバイクに付けるリアライトを何にするか、僕は長らく悩んできた。明るさ、ランタイム、サイズ、給電方法、防水性…。あらゆる角度で見たときに、どうしても納得できるものが無かったからだ。
今回購入したリアライト:キャットアイOMNI3 autoは、これまでの中ではかなり使い勝手が良いので紹介したい。
〈目次〉 1. スペック 2. OMNI5との比較 3. 自動点灯について 4. 良くない点と対策 5. まとめ
1. スペック
まずは簡単にスペックから。
付属品はバンド式のブラケット(SP-11)とクリップ式のブラケット(C-2)、細い径のパイプに取り付けるためのゴムスペーサー。キャットアイのいつもの奴が入っている。前世代?のOMNI5と同じものなので、OMNI5を使っている人はそのまま流用できる。
電源は単四乾電池2本で、安定のロングランタイム。点灯で100時間、アピール力のあるラピッドでは350時間持つらしい。正直図る気にならないので正確には分からないが、使っている感じでも十分そのくらい持っている。例えばブルべのようなロングライドには、このくらいのランタイムは必要だと思う。そしてコンビニでも買える単四電池というのが最高に素晴らしい。

このOMNI3の特徴は何と言っても自動点灯で、暗い場所で振動を感知すると自動でライトが付く。朝夕はもちろん、日中のトンネルでも自動で付いてくれるらしい。これこそ待ち望んでいたものだ…!
防水性については特に記載がなかったが、構造的に防滴くらいのもので、防水にはなっていない。詳しくは後述するが、完全な防水性を求めるなら不向きなのが残念なところ。
2. OMNI5との比較
さて、このOMNI3だが、言わずと知れた人気リアライト:OMNI5(TL-LD155-R)の後継のような位置づけだと勝手に思っている。実際に見た目もそっくりだそしターゲット層も同じだと思うので、比較レビューもしてみたい。
⇩上がOMNI5、下がOMNI3.
カタログ値では、サイズは36 x 75.x 21.9mmとOMNI3と全く同じ。重量も41.8g (本体・乾電池のみ)と0.2g重いものの誤差の範囲だろう。基本構造は全く同じといってもいいもので、本体にOリングを嵌めて上蓋をとりつける方式。特にネジ等工具が必要な構造ではないので、ライド中にコンビニ等で電池交換も出来る。OMNI5の利便性はそのままだ。
ランタイムは点灯:約60時間、点滅:約90時間、ラピッド:約120時間と、OMNI3の60%程度。これは搭載されているLEDの数がOMNI3は3個に対しOMNI5は5個なので、その点には留意が必要。
「LEDが減ったことで明るさが落ちるのでは?」と心配していたが、目で見る明るさにはそんなに差はない気がする。
ただし、恐らくもともとOMNI5は「超明るいリアライト」というよりは「ランタイムが長く電子式で出先でも安心なロングライド向きモデル」という性格のもの。街灯の多い街中でも超目立つというほどの明るさはない。それはOMNI3でも同じことなので、明るさ重視の方はこういうRapidシリーズの方がおすすめだ。
3. 自動点灯について
このOMNI3の肝とも言える自動点灯。実際に使ってみてどうかを評価したい。自動点灯といっても、どの程度暗くなったら点灯するのかや、その反応速度がどのくらいかは重要だと思う。結論から言うと、そのどちらにおいても期待以上によく反応してくれている。
明るさは「ちょっと暗くなってきたかな~」くらいの時にはもう付いているし、日中でも曇りの日にはこっそり点灯していたりもした。正直感度良すぎなくらい。当然、トンネルともあれば100%点灯する。
振動の感知もかなり感度は高く、バイクに触れていなくても、立てかけている物にぶつかったり風で揺れたりしても点灯する。これなら、実走している状態の振動で付かないという事はまず考えられない。こちらも少々過剰反応では?と思ってしまうほどだけど、その逆では使い物にならないのでこのくらいでちょうどいいのかも知れない。
はじめはトンネルや暗がりで点灯しているか逐一確認していたが、僕が点灯してほしいと思う状況では既にライトが付いているので、その心配はすぐになくなった。
この自動点灯機能、OMNI3を使うまでは「自動点灯なんて無くていいでしょ」って思っていたけど、予想以上に便利だった。もう本当、めっちゃ便利。
今まではライド中に「暗くなってきたかな」というときに、シートポストやサドルバックに手を伸ばしてボタンを長押しし点灯していた。これが何気に厄介で、ちゃんと点灯しているか確認しないと自分で付けたつもりになって実は点灯していなかったなんてこともあったり。そしてトンネルがあるたびにこの作業が必要になる。
いちいちリアライトを気にして手動で点灯させるのが面倒な作業だったことを、自動点灯のOMNI3を使ってよく実感した。
4. 良くない点と対策法
ここまで褒め続けたOMNI3だけど、残念なポイントもあると思う。①防水性②蓋が飛ぶ③クリップから吹っ飛ぶ、について、問題点と僕なりの運用・解決方法をご紹介していく。
①防水性
まず惜しいポイントが防水性。電池交換が蓋をカパッと外すだけなのは嬉しいのだが、その反面内部に水が浸水しやすい。一応ゴムパッキンが蓋に着いているから小雨程度なら大丈夫だけど、本格的な雨天走行をするとまずもって浸水してしまう。
実は大抵の場合、浸水しても走っているうちは点灯し続けてくれる。(台風の中走っても点灯し続けてくれた)そのため走っているうちに問題になることはあまりないのだが、そのまま放っておくと、次の夜から点灯しなくなってしまうのだ。
これはライト本体というより電池との兼ね合いな様な気もするが、とにかくツーリング中に壊れてしまっては非常に困る。
防水性を完全にすることは出来ないので、僕の対策は雨の後(もしくは降り続いて時間が経ったとき)コンビニ休憩等で中を開けて水気をとるというものだ。原始的なやり方だけど、一定間隔でこれをしていれば今の所壊れたことはない。
少々手間なので惜しいが、電池交換ができるメリットとトレードオフなら仕方がない。(完全防水版が出たら多少高くても間違いなくそっちを買う。キャットアイさん…!!)
②蓋が飛ぶ
次に走行中に蓋が吹っ飛ぶというもの。これはガタガタの悪路を走ったときに起こりやすい現象で、電池カバー?の蓋がいつの間にか無くなっている事がある。僕は過去にOMNI5の3つくらいは蓋を失くしている。(笑)
この対策も原始的ではあるけれど、髪ゴムや輪ゴムで止めておけば解決できる。明るさにもそんなに影響はないし、これをするだけで飛ばなくなるので是非お勧めしたい。
③クリップから取れる
バンド式のブラケットを使うときには問題にならないけど、クリップ式のブラケットを使うと路面の振動でOMNI3本体がが吹っ飛ぶ事がよくある。それを防止するには細めのタイラップが効果的で、クリップのスレッドに挟み込むように縛ると、クリップが取れることも、ライトが取れることもなく安心して使うことが出来るのだ。
写真で説明したほうが分かりやすいと思うので、詳しい方法はこの記事にまとめてある。⇒こちら
5. まとめ
結論として、OMNI3は僕にとって非常にいい買い物だった。現役のOMNI5を置き換えていきたいので、たぶんリピートして買うと思う。このランタイムの長さと乾電池式の安心感、自動点灯の利便性は素晴らしい。それでいて実売価格がOMNI5と変わらないなんて、もう最高過ぎるとさえ思う。
とりあえずリアライトが欲しいという方からロングライダーまで、幅広くオススメ出来る商品だ。
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蛇足だが、ロングライドなんかではOMNI3のようなランタイムが長いリアライト+反射材が基本だと思う。リアライトは当然付けるべきものだけど、結局リアライトのアピール力はそこまで高くはない。反射材は反射ベストのほかに、動きのある足元(足首、シューズ、ペダル、クランクなど)が一番オススメ。費用対効果的にはリアライトより上だと思うので、安全のために買っておいて損はない。
慣れるとつい忘れがちだけど、我々サイクリストは事故にめっぽう弱い。ヘルメットとサングラス以外ろくなプロテクターもしていないし、守ってくれる車体パーツも皆無。
四国のブルべにおいて、無免許飲酒運転の乗用車にランドヌールがはねられ亡くなるという痛ましい事故も記憶に新しい。400㎞ブルべなので、反射ベストや複数のリアライト、ヘルメットライトはあったはず。それでも安全意識のないドライバーに対しあまりに無力だ。
当然事故のリスクをゼロにすることは出来ないけど、少しでもその確率を減らす努力をするのはサイクリストの責務だと思う。ダサいとか高いとか言う前に、死んだら元も子もないじゃんと。それに自分が死ぬだけならまだしも、不用意な装備で事故を起こすと今後の自転車界にマイナス影響を与えかねない。僕はそれは絶対に避けたい。
サイクリングという素敵な趣味、安全に長く楽しみたいものだ。
おわり