冬季北海道ライド4日目。前日は音威子府までの170kmを走り、いよいよ宗谷岬が見えてきた。
立ちはだかる壁は、最後の試練オロロンライン。予報は暴風の向かい風…。行く末はいかに。
〈目次〉
1.音威子府〜天塩
2.オロロンラインは15m/sの向かい風
3.稚内到着
1.音威子府〜天塩
03:45。携帯のアラームで目を覚ます。
道の駅の軒下と雪壁の間にテントを張らせて頂けたので、穏やかな夜だった。

昨日の疲れが多少残っており、どうにも眠くて目がショボショボする。水筒のお湯を飲んで目を覚まし、朝食のパンを口に詰め込む。
05:00撤収完了。
不覚にも二度寝してしまい、出発が30分近く遅れてしまった。

今日の最低ラインは132km先の稚内。出来れば宗谷岬まで行きたいところ。さて、どこまで進めるか。
音威子府〜天塩までは、国道40号線を基調に走る。山間部を抜けるもののアップダウンが無いので非常に楽だ。走りやすいトレースを辿りながら、綺麗な山道のワインディングロードを走り抜ける。

あいにくの曇り空で星や月は見えないが、辺りは真っ白なので道は明るく走りやすい。夜明け前は除雪完了直後な上に、交通量も少なく事故のリスクが低い。夏場も深夜~早朝は走りやすいが、冬でもこの時間がベストだと思う。
あぁ…とても気持ちがいい。森の静寂を独り占めだ。

雪化粧の森はとても綺麗だ。スパイクタイヤが雪面に刺さる心地よい音と感触に包まれながら、オロロンラインを目指し走る。
2.オロロンは15m/sの向かい風
天塩までは60kmほどで、天候も安定していたので容易な道のりだった。
しかしオロロンラインに出た途端、状況は一変。天気予報通りの猛烈な北風=向かい風が吹いている。Yahoo天気によれば、風速15m/sの北風…(笑)

オロロンライン(特に天塩〜稚内)といえば、湿地帯が延々と続く60kmの直線路。天気が良ければ最高の道だが、逆に風除けが一切ない過酷な道にもなる。エスケープルートも居住区域もほぼないため、より一層危険で困難だ。
日が落ちるまで7時間。グロス8.5km/hでギリギリという際どいラインである。40号線へ戻り内陸部を進む選択もあったが、明日には天候が回復するので、最悪ナイトラン覚悟で突っ込むことにした。

オトンルイ風力発電所までは、向かい風が強いものの10km/hを切るほどではない。ここまでは良かった。
北緯45度線のあたりから、風が冗談じゃないレベルに。もはや早歩きに近いのでは?という速度しか出ず、苦しい。とっくにギアはローギアだ。

速度域が低速な時ほど止まらないのが鉄則なので、ひたすら姿勢を低くしクランクを回す。DHバーは無いけど、腕と手の甲でハンドルを支えTTのようなポジションで走った。
抜海に近づいた頃、自転車のトレースを発見。これは見覚えのあるスパイクタイヤの痕…シュワルベのウィンターとアイススパイカー。ウィンターの方はホイールベースが短そうだから、多分シクロとMTBだな。車間が一定だから2人組だろうか??

前を走ってる仲間がいると分かると心強い。それにまだハッキリした痕だから、そう遠くはないはず。せっかくだから抜いてやろうと、俄然やる気が出る。笑
抜海の手前数キロで、その2人に追いつく事に成功。阪大のサイクリング部のお2人で、今日は抜海で1泊らしい。トレースから想像した通りの2人だったので、我ながらよく当たるものだと驚いた。笑

2人を追い抜き、稚内へと先を急ぐ。抜海までの道のりは、本当に険しかった。
3.稚内到着
抜海を過ぎてからは、やや斜めからの風になるので幾分楽だった。時間ギリギリ、日暮れと同時に稚内市街に入った。もうここまで来て仕舞えば、あとは余裕で走りきれる。残りはたったの30kmしかないのだから。
宗谷岬までの最後の街になるので、まずは風呂に入ってさっぱりする。訪れたのは夏にも利用した「港の湯」。
広くて綺麗で、とても居心地のいい施設になっている。夏の北海道一周を思い出しながら、露天風呂で一息ついた。数名、明らかにチャリダーと思しき人とすれ違った。明日の年越し宗谷岬でまた合うのだろうか。お互い、ここまでよく走ったものだ。笑
風呂の後はご飯で、コンビニでカップ麺やら何やら食べたがどうしても肉が食べたくて仕方なくなった。

ので、ファミレスで仕方なくハンバーグを500g頼む。500gあれば満足するかと思ってたんだけど、5分かからず肉は無くなり、全く満たされない心が残った。お代わりしたいが、金がないのでカレーとサラダバーをやけ食いして心を鎮める。

腹ごしらえを済ませつつ、この後どうするか考えた。普通はここ稚内で一泊するのだろう。解放されている「稚内防波堤ドーム」は年越し宗谷組が沢山居るようだった。
が、イマイチそれはピンと来ない。明日みんなでゾロゾロ宗谷岬に走るなんて嫌だ、そう思った。

なら、話は早い。さっさと荷物をまとめて、一足先に宗谷岬に行くことにした。横〜向かい風とはいえたかが30km。余裕である。
さぁ、往路のゴール日本最北端「宗谷岬」へ!!
(宗谷岬まで含め、稚内での休憩時間を除く)
162.2km、1,037mUP、グロス14h37m(11.1km/h)
つづく