僕がMTBを買った理由の1つが『冬の北海道ロングツーリングをしたいから』だった。(購入の経緯はこちらオフロードバイクが欲しいーNEWバイクを選んだ経緯の備忘録へ)
今までロードバイクしか乗ったことがない僕からすると、フラットバーでロングライドはしたくない。ポジション的にも使い勝手的にも、やっぱりドロップハンドルが欲しい。
そこで、購入したMTBのドロハン化を決意した。今回使うベースバイクはGT Avalanche Expertの2019モデル。油圧ディスクブレーキ、11sのMTBで、これを11s油圧ディスク用STIを用いてドロハン化したいと思う。
<目次> 1.MTBをドロハン化する障壁 ーコンポ互換 ーポジション 2.障壁をクリアする方法 ーRD、シフター、スプロケ ーブレーキキャリパー系 ー超ショートリーチ・ドロップハンドル 3.費用と勝算
1.MTBをドロハン化する障壁
MTBをドロハン化する際には様々な障壁がある。それらを大きく分けると、①MTBとロードのコンポ互換がないこと②ポジションが大きく変わること、の2つだ。*単にドロップハンドルにMTB用シフターやブレーキレバーを付けることも不可能ではないが、使い勝手的にも見た目的にも残念だと僕は思う。今回はロード用STIを用いることを前提とする。
今回ドロハン化するGT Avalanche ExpertはシマノM7000系SLX(フロントシングル、リア11s、油圧ディスクブレーキ)で組まれたバイクである。これを1*11sのままSTI操作できるようにする。
コンポ互換性
まずMTB系とロード系のコンポの互換性だが、そもそもシマノ公式では互換がない。つまり、ロード用コンポのSTIレバーで、MTB用のRDやFDを正確に操作することはそもそも不可能なのだ。STIのワイヤー巻き取り量とRDの動作幅の都合上、スプロケのギア幅を正確に移動してくれないらしい。
先人たちの知恵によれば、旧世代9s-10sまでのコンポ(4600系や3500系以前?)であれば互換があるためMTB用のRDにロード用STIを取り付けられたらしいが、僕が使いたいのは11s。よって、リアメカ系の総入れ替えが必須である。
ここでスプロケ問題が発生。
リアメカ系をロード用にした際、R8000世代のロード用RDのキャパはMAX34Tまでなので(旧型5800、6800、9000はGSでも32Tまで)MTB用の46Tスプロケは使用不可、ロード用スプロケをインストールする必要がある。しかしシマノの11sではロード用とMTB用でスプロケの全体幅が異なる。どうやら幅は「ロード用10s=MTB用11s<ロード用11s」らしい。
つまり、コンポ入れ替え時に、一般的ロングケージのロード用RD(RD- R8000-GSなど)で使うスプロケ(CS- R8000-11-32T)を使おうとしても、MTBの11s完成車ホイールのフリーボディにはスプロケが大きすぎて使えない。
11sのMTB完成車の付属ホイールに使えるスプロケはロード用10sの幅まで。よって、フリーハブを交換する(=ホイールを組みなおす)かロード11s対応の650bホイールを購入するのが順当な手段。
更に、油圧ディスクブレーキもMTB系とロード系で異なる。シマノ公式の互換表を見てみると、そもそもロード用油圧STIにはロード用油圧ブレーキキャリパーしか対応していない。
また、ロード用油圧ブレーキキャリパーにはロード用のディスクローター、MTB用キャリパーにはMTB用ローターが必要らしい。つまり、順当に行けばブレーキキャリパーとディスクローターも交換が必要である。
*これらについて、割と強引な突破口を見つけたので、今回はそれを用いることにした。その方法は次項で説明。
ポジション
次はポジションについて。
MTBをドロハン化すると、基本的にリーチが「ドロップハンドルのリーチ+STIの握り位置」分だけ長くなる。ロングライドを楽に走るためにドロハン化するのに、ハンドル位置が遠くなりすぎるのでは本末転倒だ。
これはバイクと乗り手とパーツの現物合わせで解決するしかない問題だが、いいパーツを見つけたので次項でご紹介する。
2.障壁をクリアする方法
では、上記障壁をどうクリアするつもりなのかをご紹介していく。*まだ組付け試していないので、騎乗の空論の域を出ていない情報です。
RD、シフター、スプロケ
Rメカ系に関しては、まずRDとSTIの互換について考えた。
巷にはワイヤー引き量を変換するアダプターなるものが存在するようで、ロードバイクでシマノとカンパをミックスして使う(俗にいう”シマニョーロ”)などに用いられているようだった。それに似たパーツを、シマノのロード系とMTB系のレバー比に対応させて自作すれば、理論上ロード用STIのポン付けでOKだ。しかし、そんな加工技術を僕は持ち合わせていないし、厳冬期北海道の厳しい環境に、そんな不安要素が満点の機材を持っていきたくないので却下。
【2019.08.15追記】
引き量を変換するアダプタとしてWolftoothから「タンパン」なる商品が販売されている。使用者も多く、一定の信頼は得ていると思われる。AltarnativeBicycleから購入可能。価格は6,000円前後。あるいは、同社製「ロードリンク」を使えば、ロード用RDで最大40Tまで使えるようにもなる。簡単に言うとディレーラーハンガーを延長するようなパーツなので使用感はどうか分からないが、使用者もちらほら見かける。
結論、ロード用STIに合わせてロード用RD(RD- R7000-GS)を購入することにした。
次に、スプロケの幅問題。
しかしこれは案外サクッと解決した。現在の新型UltegraR8000系からのみ出ているスプロケ「CS- HG800 11-34T」が、なんとロード用10sスプロケと幅が同じらしいのだ。「CS-HG800=ロード10s=MTB11s」なので、これなら限定的に11s完成車MTBのホイールにポン付け出来るはずだ!
ブレーキキャリパー系
ブレーキキャリパー問題は、丁度いい組み合わせを試してくださった偉大な先人がいらっしゃった。(笑)
このサイトによるとロード用油圧STIのST-R785(R8000系が出る前の、シマノ初期ロード用油圧電動STI)と、MTB系のBR-M7000(普通のM7000系SLXブレーキキャリパー)の組み合わせが使えたらしい。そこそこ信憑性がある話なので、今回はこれに賭けてみる。
油圧STIにもいろいろあるが、今回使用するのは現状市場価格が最も安価な「ST- RS505」だ。R8000やR7000が出る以前に、ノーグレードの油圧STIとして発売されていた2*11sの油圧STI。無印だが、一応105グレードの位置付けらしい。
それで、シマノの公式互換表を参考にするとR785とRS505は同時期発売なので、多分同じことが出来るはず…?そう信じて、M7000系SLXのブレーキキャリパーを用いることにした。
成功すれば、この方法が最も安価に済む。ロード用油圧ブレーキキャリパーをインストールするのは簡単だが、M7000の2倍以上の価格がブレーキキャリパーのみでかかるうえ、ロード用ディスクローターも購入するとなるととんでもない出費になってしまう。僕にそんな余裕はない。
超ショートリーチ・ドロップハンドル
ポジションについて、ドロハン化してもリーチが長くなりすぎないために超ショートリーチのドロップハンドルが必要となった。
通常のドロップハンドルのリーチは100㎜くらいだが、今回使用するのは60㎜という圧倒的ショートリーチなハンドルバーだ。しかも、フレアハンドルといって末広がりなタイプのハンドルバーなのでバイクパッキングや荒れた路面との相性が抜群にいい。求めていたものドンピシャだ。
それが「DIXNA バンディー」というハンドル。あの神楽坂つむりさんが紹介していて前から知っていたのだが、その情報がこんなところで役に立つとは。
GTの公式ジオメトリと、ロードバイクでのジオメトリを照らし合わせて、これならぴったりのポジションに出来ることを確認した。
3.費用と勝算
さて、最終的に僕が購入したものは
・ST-RS505(中古)¥16000
・RD-R7000-GS(海外通販)¥4500
・CS-HG800(海外通販)¥7300
・BR-M7000(海外通販)*2 ¥2500*2
・BH-90BSM(Amazon)¥2500*2
・DIXNAバンディー(Amazon)¥5400
・シフトワイヤーセット(Amazon)¥1500
以上、¥44,700。
自分が現状入手可能な最安値で仕入れた結果、こうなった。海外通販が基本強いけど、Amazonも負けていなかったり。油圧ディスクのMTBを油圧ディスクSTIでドロハン化すると、最低でもこのくらいはかかると思う。因みに油圧ディスクのブリーディングキットやミネラルオイルは、既に油圧ディスクロードバイクのメンテのために持っていたので購入はしていない。それも新規で買うと+¥3000くらい。
⇩一応、Amazonリンク載せておきます。価格は変動するので、こっちの方が安いかも知れません。
あとは、自分で組み込んでみてのお楽しみ…。勝算はそこそこある。ブレーキさえ何とかなってくれれば後は余裕だ。さて、ドロハン化の行く末やいかに…?
つづく