ツーリング記

北海道一周⑥|あぁ…ここが天国か。青空と海と湿原と。

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北海道一周6日目。(5日目はこちら)

昨日は初めての1日晴れで、道東の美しい景色を堪能した。今日は根室~帯広のあたりまで。風は東風だから概ね向かい風だろうけど、天気予報は良いので期待大。

中盤3日間の締めとして、楽しむのはもちろん距離を稼いでおきたいところ。北海道も残り1,000kmくらい。

<目次>
1.タンチョウとの出会い
2.日本本土最東端:納沙布岬へ
3.天国の霧多布湿原
4.満天の星空ナイトライド

*** *** * *** ***

今日もいつも通り04:00に起床。

日本の中でもかなり東に来ているから、日の出がやけに早くて調子が狂う。テントの中がみるみる明るくなってしまって、なんだか太陽に急かされているみたいだ。ダラダラしたい気持ちを堪えて、シュラフからはい出る。支度を済ませてバイクにまたがった。

朝日に向かって走り出す

いつもいつも、朝はこうだ。テントの中にいるときはそのまま寝てしまいたくて仕方がない。だけど、いざ走り出すと世界が変わる。寝てしまいたいなんて思っていた事すらたちまち忘れてしまう。真っ赤な空に向かって走り出す。

今日はまず、根室市街を通過して本土最東端の納沙布岬まで走る。東風だから、そこまでの数十kmは追い風だ。ありがたく風に背中を押してもらいながら、体を温めでいった。

根室の朝はあまりに美しかった

朝焼けの道の先に待っていたのは、根室の湿原だった。

真っ青な空に、朝日が照らす緑が際立つ。他の車も殆どいないから、辺りはとても静かだった。風に吹かれて草木が揺れ、水面にさざ波が立つ。そうか、これが道東か。

こんな道を一人で走る心地よさ。追い風の時は、重めのギアでゆったり回すのが僕の好みだ。トルクをかけ、スピードに乗り、広がる根室の朝の光景を堪能する。

真ん中の鳥、よく見ればタンチョウ!

ふと、そこらに居た水鳥に目をやると、どこかで見たシルエットと色である。ん?あれ、タンチョウじゃない!?

タンチョウといえば、絶滅の危機に瀕している日本じゃ道東にしかいないレアな鳥だ。あとで調べたら、絶滅危惧種Ⅱ類、生息数わずか1500羽程度。まさか見られるとは思っていなかった。こんな鳥と愛車とのツーショットが撮れて満足。(笑)

初日にヒグマと遭遇してから、オコジョ、タンチョウと、珍しい北海道にしかいない生き物たちに出会うことが出来た。それだけでも、北海道に来たかいがあるっていうもんだ。ヒグマは遭いたくなかったけど、ある意味すごく運がいい。北海道一周①|山道でヒグマに遭遇。北の大地の洗礼と絶景)

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いい景色とタンチョウを見られてテンションMAX。そのまま納沙布岬まで突き進む。

天気もいいし、最高である

根室市街を越えてから、ずーっとこんな景色がつづく。まったく、なんていい眺めなんだろう?

天気がいいのが本当にうれしい。青い空に白い雲、適度にうねった緑の草原…。晴れているからこその美しさだ。遮るものがないから、雨風が厳しいときには相当大変に違いない。

これは登山でも同じこと。綺麗な場所ほど、天候次第で天国にも地獄にもなる。きっとそれは表裏一体なものなんだ。

表記は「日本」ではなく「本土」最東端。

納沙布岬に到着。

このあたりには、北方領土に関する看板や石碑が沢山あった。歴史の上に立っているのだと、こういうものを見るたび思う。どんなに努力してもツーリストの僕には解り得ない想いがそこにある。

きっと個人レベルの記憶や認識はどちらも間違いではないのだけれど、それらが国レベルの歴史や領土の線引きになると、必ず齟齬が生まれてしまうのだと思う。

あれこれ考えながら、”東の端っこ”をあとにした。何はともあれ、僕が今走っているこの大きな島の東端であるには変わりない。

にしても景色が良すぎる。僕のちっぽけな思考が、みるみる溶かされ飲み込まれていった。

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ここからは延々と向かい風。

納沙布岬までの道のりを追い風で楽した分、今度は大変だ。

根室市街を越えたあとは、国道を離れて海岸線沿いへと進んで行った。県道142号を基本に、霧多布湿原のあたりを走る。緩く程よいアップダウンだから、DHバーだけで充分走ることが出来た。

もっとも、景色が良すぎて向かい風の辛さなんて微塵も感じなかったのだが。(笑)

気づけば笑顔になっている景色

なんというか、もう余計な説明はいらないのだろう。

見渡す限りこんな道が続いている。ここはどこだ?ほんとうに僕の住んでいる日本か?

気持ちよすぎる

ははははは。

いい景色に出会えると、僕は笑い出してしまうみたいだ。もうニヤニヤが止まらない。ある種僕は変態かも知れない?(笑)

車の通りもほとんどなくて、道を独り占めにしている気分。

はぁ、ここが天国か…。

ピンポイントな「絶景」という眺めというより、この連続した「道」であり「空間」が美しい。だからここは「天国」だ。

僕はいままで、何故かツーリングの綺麗な景色を「絶景」と表現されるとイマイチピンと来なかった。その理由がやっとわかった。自転車に乗っていて綺麗だと思う瞬間は、点ではなく線や面といった、連続性のあるものだと思う。続いていく道の中に、その美しさがあるのだ。

北海道を一周した中で、一番よかった場所はここかも知れない。いや、オロロンラインと一位タイかな。

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湿原地帯を抜けてからは、釧路を通過し帯広を目指す。

ここまでの道のりで予想以上にパンクして修理キットの予備がなくなってしまったから、釧路市街のコンビニでAmazon注文した修理キットを受け取った。長期ツーリングでは郵送網の活用が本当に便利だ。必要な装備をあらかじめ送っておいたりネットで注文したり、逆に自宅に送り返したり。

気づけばすぐに日暮れに

受け取りついでにご飯を食べて、あれこれしているとたちまち日が暮れてきた。日の出が早い分、日の入りも早い。

クマが怖いから基本ナイトライドはしない計画で走っていたけれど、ここから先は目撃情報がないのでなるべく帯広に近づけるように走ることにした。今夜は雲が少ないから、きっと気持ちがいいはずだ。

スマホのカメラじゃ夜は真っ暗

こんな写真しか撮ってないから何も伝わらないと思うけど、この道も最高に気持ちが良かった。

期待していた通り、空を見上げると満天の星空。真っ暗な夜道は何度も走ってきたし、綺麗な星空も見てきたけど、どれも山道でだった。ここ北海道の夜空は、遮るものがないからまた違った気持ちよさがあった。

前後左右、もちろん上も、どこを見ても綺麗な星々が輝いている。これはまるでプラネタリウムだ!

道も凹凸のない快走路。風もかなり落ち着いてきたから、完全に自分のペースで走れた。こういう道は疲れも吹っ飛ぶ。ついつい走りすぎてしまった。300㎞を越えればいいかなと思っていたけど、それから1時間以上も走っていたみたいだ。

4.5.6日目の走行距離は902㎞。結果的に昨日の借金分も取り返せたし、かなりいいペースになっている。はじめは無理だと思っていた300㎞/日のペースだけど、信号のない道のおかげで充分狙えるペースみたいだ。そうすれば、北海道一周を目標よりも早い8日とちょっとで到着できるかもしれない。長くてもあと3日だ。

さあ、明日も頑張ろう。

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距離 333.4㎞|獲得標高 2,517m|グロスタイム 16時間28分

つづく

 

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