ツーリング記

北海道一周④|ついに日本最北端の宗谷岬へ!

北海道一周の他記事・まとめはこちら

北海道一周4日目。(3日目はこちら)

今日は稚内から最北端の宗谷岬を経由し、そこから一気に南下。最低目標はサロマ湖、できれば網走まで行きたいところ。

北海道も中盤に入り疲れも出てきたが、風向きはがっつり北風=追い風なのを励みにライド開始!

<目次>
1.最北端「宗谷岬」
2.追い風オホーツクライン
3.サロマ湖で蚊の猛攻

⇧走ったのはここ

*** *** * *** ***

珍しくぐっすり眠っていたようだった。

普段は目覚ましが鳴る少し前に起きるのだけど、今朝は2度目の目覚ましでやっと起きた。念のためかけておいてよかった。公園の片隅で寝ていたから、やはり早朝には撤収しないといけない。

少々急いで撤収をはじめ、そのあとゆっくり朝ご飯を食べた。毎朝のご飯はアップルパイ。セイコーマートの菓子パンも大分制覇しつつあって、お気に入りがアップルパイだった。自販機が近くにないので、いつもの缶コーヒーがないのが残念だ。

 

出発後、まずは僕が北海道で一番写真を撮りたい場所だった『宗谷岬』へと向かう。

憧れの人たちが次々と、あの『日本最北端の地』という三角のモニュメントの写真をSNSにアップしていた。ロングライダーや旅人のステータスのような気さえしていた僕である。(笑)

宗谷岬までは30㎞くらい。いつものアップをしつつ、少しずつ進んで行く。その地が違づくにつれ、胸が高鳴るのが分かった。

そしてついに到着!

そう、この写真が撮りたかった!やっとここまで来れたのだ。最南端の佐多岬は春に制覇していたから、これで日本の南北は制覇である。

テンション上がって柄にもなく自撮りしてみたり。(笑)

周りに人は殆どいなくて、しばらく最北端からの景色を堪能した。

長かったような、短かったような。日本一周とかに興味はなかったけど、行きたい場所を好きなように走っていたら日本でまだ走っていないのは鳥取、島根、沖縄の3県のみ。せっかくだから、今度行ってみようかな?

自転車を買って早3年。まさか自分がこんなになるなんて、我ながら驚きだ。(僕の自転車との出会いは【1話】友達『チャリで北海道まで行ったら面白そうじゃねw』からロードバイクを買い旅に出た話①シリーズにまとめてある)

宗谷岬からは、少し海岸線を離れて『宗谷岬牧場』の県道889号へ。

せいぜい100mくらいの登りなのに、この高原感に驚いた。北海道一周の中でも、間違いなく指折りに入るいい景色。緩やかなアップダウンの合間に、遠くの丘で回る風車が見える。遮るもののない心地い良さ、吹き抜ける感じ。

遠くまで続く牧草の、細かな色の違いが幾何学模様を描いているのが、また美しい。自然と人間の入り混じった世界だ。

ああ画角が…こうじゃない

こんな世界を写真におさめたい、他の人に伝えたいと思った時、スマホの限界を感じる。広角レンズしかないから、思い描く絵にならない。わざわざ重たいカメラを背負って走る方々の気持ちが良く分かる。

写真って本当に難しいと思う。今自分の見ているもの、感じているものを、うまく切り取らなくちゃいけない。

360°囲んでいるこの草原や、そこにポツンんと並ぶ風車や、曲がりくねった道、草原のうねり、朝もやがかかった湿った空気…。僕はどれも切り取りたくない!ってなってしまう。

こんな時にもパンクはする。金属片でタイヤを貫かれてしまったようだ。

カラータイヤは初めて使ったけど、こういう異物が見つけやすいのもいい点かも知れない。にもかかわらず、2つ目の異物があるとは思わずチューブを入れてしまい即パンク。全く何をやっているんだか。

修理ミスのせいで、新品のチューブのストックがなくなってしまった。修理済みのものならあるんだけど、これではちょっと不安。途中の自転車屋も寄っておくか。

綺麗な眺めに見とれ、写真を撮り、パンク修理までしていたら、ここまで50㎞のグロスが15㎞/hまで落ちてしまった。これはいけない、先を急ごう。

*** *** * *** ***

内陸部を抜けて、猿払(さるふつ)のあたりから海岸線に復帰。

ここからはオホーツクラインを基調とした平たん路を、ひたすら200㎞南下する。昨日オロロンラインを北上した逆をやるわけだ。

THE・平坦直線路

そして、今回はばっちり追い風。グロスペースを取り戻すべく、手を抜かずにペースアップして走っていった。

風に乗って巡行35㎞/h。このくらいのペースになるとすごく気持ちがいい。自分の力だけじゃ維持できないのが悲しいけど…。信号も殆どないので、みるみるグロスペースが上がる。

これで晴れていたら『これぞまさしく北海道!』的な写真が撮れていたんだろうか?

こんな道を100㎞走り続けて、グロスはいつしか25㎞/h近くになっていた。こういう走りがテント泊スタイルでできるんだから、U.L.ギアは素晴らしい。

DHバーの扱いにもかなり慣れてきて、DHバーのままご飯を食べたり軽くダンシングしたりもできるようになった。こういうちょっとした成長?が楽しかったり。

*** *** * *** ***

途中、紋別で老舗の自転車屋に立ち寄った。ダメもとでチューブがないか聞いておきたかったのだ。

店の重い引き戸を開けると、店主のお爺さんが出てきた。

「すみません、700c*25で使えるチューブっておいていますか?」

聞いた途端変な顔をされたので、ああこれはダメかなと思いきや

「自転車何処や?見してみ」

別に今修理の必要はないと伝えたが、どうやら適合するかを自分で診たかったらしい。バイクを見て一言。

「はは、こりゃすごいので来たな!」

どうやらお爺さんも昔北海道一周をしていたらしく、ぱっと見で僕のスタイルが通じたらしい。なんだか気に入ってくれたみたいだ。

「こりゃテントポールだろ?これにテント入ってるのか!?」

「こんな荷物で、1日どれだけ走るんじゃ?」

「今のところ300㎞/日ペースで来ています(笑)」

「そりゃ凄いな。これならチューブあるから待っとけ」

店の奥からガサゴソとチューブを出してきてくれた。700cは25~32cの32㎜バルブのみストックがあったみたい。良かった。

「今日はどこまでいくんだ?」

あ、これ長話になるやつだ(笑)

せっかくなのでお爺さんと話をしたいけど、網走の方もクマ目撃情報がある地点を通るからのんびりしている時間はない。

「網走までを予定しています。助かりました、ありがとうございました!!」

僕は威勢のいいあいさつで流れを切って、バイクにまたがって走り出した。ごめんねお爺さん、ありがとう。

*** *** * *** ***

ここからは、寝床を探しつつ網走に近づく。候補はいくつかあるんだけど、実際に見てみないと良し悪しが分からない。

辺りが暗くなってきたころ、雨が降ってきた。そういえば、夜から雨の予報だったっけ。

はじめはパラパラだった雨が次第に強くなる。

レインウエアを着ようと路肩に止まったとき、辺りの草むらから白っぽい虫が僕にたくさんまとわりついてきた。

特に気にしていなかったんだけど、体中にたかられてビックリ。それら全てが大きな蚊であった。しかも、平気でウエアを貫通して刺してくるし、刺されるとき痛い。最悪だ。

思わず蚊を振りほどき、自転車にまたがって走り出す。ついてくる蚊たちを、加速して振りほどいた。

アスファルトに出来たわだちに水が溜まって酷い有様

それから何度かレインウエアを着れないか試したが、とてもそれどころではない。仕方なく、乗ったままジャケットを着た。しかしパンツはいったん停車しないと無理なので、どうにも履けそうにない。雨脚はどんどん強くなっていき、みるみるうちに下半身は完全に水没した。

網走に違づいても、コンビニに停車するたびにまた蚊が寄ってくる。こんな調子じゃテント設営なんて到底不可能だ。雨に濡れたうえ蚊に刺されまくり、夜と雨のせいでガタガタの路面もよく見えない。もうストレスが尋常じゃない。

そこで、コンビニを数件梯子してやっと見つけた。最終兵器キンチョール!!

忌々しい蚊め。駆逐してやるから待ってろよ?

早速コンビニ前で試すと効果覿面!あいつらが綺麗に落ちていく。『はっはっは、蚊がゴミのようだ』と心の中で某氏のように高笑いしつつほくそ笑む。(笑)周囲の蚊を駆除し、レインウエアも着込んだ。これで私は無敵である。

人は戦う術を手に入れるだけで、こんなにも力がみなぎるものなのかと驚いた。

事前にチェックしておいたクマ目撃情報をもとに、自分なりに大丈夫そうな場所の目星をつけておいた。

運よく、雨をしのげる寝床を確保。盛大にキンチョールを散布しつつ、さっそと設営し就寝準備に入る。4日目にもなると、なにも考えなくても勝手に体が動いているようになる。

先ほど刺された場所がものすごく痒くて不快だが、濡れたウエアを洗濯済の着替えに変えたのでまだ耐えられる。明日までに乾けばいいけど…一晩中雨は降りそうだし期待はかなり薄い。

日没後蚊と格闘していたせいで、がっつり上げたグロスがまた下がってしまった。明日は知床峠や天に続く道を走る。天気が良くなってくれればいいんだけど、ここまで毎日雨に打たれていると期待はできない。せめて蚊が減ってくれますように。

北海道一周の他記事・まとめはこちら

距離 302.3㎞|獲得標高 1,568m|グロスタイム 13時間45分

つづく

皆さんの反響が凄く力になります!匿名なので、ぜひポチっと評価をお願いします↓
  • いいね^^)b (17)
  • 参考になった(@_@) (1)
  • 微妙(-_-) (0)
  • もっと詳しく(・ω・) (0)