ツーリング記

灼熱地獄を脱出!標高たかめの500kmテント泊ツーリング

2018年夏。

何かと「平成最後の○○」なんて言われる今年だが、平成最後の夏はとんでもない猛暑となった。暑いので有名な熊谷が歴代最高気温を41.1℃で更新し、全国各地で熱中症のニュースが絶えない。

僕が住んでいる横浜も、暑い。とにかく暑い。もうやってられない。

こうなったら、標高を上げてこの灼熱地獄を脱出しようじゃないか!

 

ルート

まず思いついたのはビーナスライン。

標高1800~2000mの、霧ヶ峰~美ヶ原の一帯が特に有名だ。どこまでも続く高原、青い空に黄緑の草原が風になびく…。ツーリングには最高の場所。気温逓減率からいくと、下界よりも気温が10~12℃低いはず。最高じゃないか!

そして、どうせそっちに行くのならと気になっていた御荷鉾スーパー林道も行ってみることに。スーパー林道も標高1300~1400mの尾根沿いを走るから、下よりも涼しいはずだ!

よし、決まり。

横浜から高崎へ向かい、御荷鉾スーパー林道を経由して軽井沢を越え上田方面へ。一泊してビーナスラインを走って諏訪方面に下り甲府を経由し横浜へ帰宅。完璧だ!

 

装備

今回の装備はこんな感じ。

 

左から、黄色いのがマット(SEA TO SUMMIT U.L.マット)、その上がグランドシート(モンベル)、青いのがシュラフ(モンベル ダウンハガー#5)、緑のが軽量テント(モンベル U.L.ドームシェルター1型)、その下の緑の長いのは付属のテントポール、黒い袋がレインウエア(モンベル トレントフライヤー)、その他は右上がコッヘルとガス・ガスヘッドバッテリーチューブ替えのインナー


 

…なんかもう、モンベルの回し者かってくらいのモンベル率(笑)

そのくらい、モンベルは低価格で高性能がなんでも揃うってことだ。モンベルさん、いつも感謝です…!

 

これらほどんどはサドルバックに収納された。収納後はこんな感じ。

・バイク:Specialized Roubaix SL4 Disc

⇒カーボンフレーム、油圧ディスク、グラベルキング26c

・フロントバック:モンベル フロントバック

⇒補給食、財布、スマホ、ごみ入れ

・フレームバック:ブラックバーン アウトポストフレームバックM

⇒主にドリンク入れ(1.5Lほど)、バッテリー類

・サドルバック:ブラックバーン アウトポストシートバック

軽量テントマットグランドシートシュラフレインウエア

これを入れても余裕があるんだから、ブラックバーンのサドルバックはいいサイズ。

フロントバックとフレームバックは、林道の無補給区間を走り切るための水と食料を入れるためのもの。林道を走らないなら、正直サドルバックかフレームバックは必要ないだろう。

フレームバックには最大3Lの水が入るし、フロントバックには3000㎉程詰め込むことが出来る。本当の僻地に行くなら、最低でもこのくらいの積載はしておかないと危ない。

 

いざ出発!

さあ、準備は整った。いざ出発だ。

今回は御荷鉾スーパー林道を走るから、出発時間がかなり制約された。というのも、御荷鉾スーパー林道は全長60kmで、20km近いロングダートがあるコース。もちろん、普通はロードバイクで行くようなところじゃない。

だけど、それでも僕は行ってみたかった。先日箱根旧道街道で26cタイヤのダート走行性能を試していたから、走り切れると踏んでいた。

とはいえ、予想外のトラブルの可能性が十分あり、助けを呼べない可能性まであるとなると、なるべく午前中のうちにクリアしておきたい。つまり、高崎付近に最低でも朝9時までにはついておきたかった。

当日朝、僕は寝坊してしまった。

高崎までは120kmくらいあるから、信号峠も考慮に入れて7時間。午後に林道に入るのは避けたいから、そのままあれこれ作業をして夜を待つことにした。

 

出発は22:00過ぎ。これならスーパー林道到着まで余裕があるし、この時間ならまだ涼しいから、体力的にもうれしい。

いつも思うことだけど、都心を走るなら深夜に限る。車も人も少ないし、街灯があって安全だ。この人の寝静まった静けさが、また一層いい雰囲気だと思う。ロードバイクで走りたいけど熱中症が怖いという人は、一回超早起きか超夜更かしをして深夜に走ってみてほしい。

昼間に比べ圧倒的に走りやすいとはいえ、都心特有の信号峠は健在だ。

誰もいやしないのに、機能し続ける信号。こんな無駄さっさとやめて、点滅信号でいいじゃないか。その方がよっぽど効率的な交通網が出来上がるのに。そんなことを考えながら、高崎を目指す。

途中、例の熊谷市を通ったけど、流石の熊谷も夜明け前の一番気温が低い時間は涼しかった。深夜ツーリングのメリットは大いにある。

 

さて、夜も明け今回のメインの1つ、御荷鉾スーパー林道の入り口に来た。

補給は十分にしてあるから、あとは四の五の言わずに上るだけ。キャンプツーリング装備が重いが、インナーローを駆使して登っていく。

荒れた舗装路の林道を抜け、標高が1300mを越えると、いよいよダート区間の始まりだ!

詳しくはこの記事(御荷鉾スーパー林道のダートをロードバイクで走破してみた)にまとめてあるので、気になる方はこちらをどうぞ。ここでは、写真をメインに紹介していきたいと思う。

砂利がメインのロングダート
実は結構なガレ場
オフロードは登りがキツイ
こんな写真が撮りたかった
自然を感じるオフロード
有名な崩落地点

ロードバイクでも、こんな景色に出会うことが出来る。それに感動していた一方、ちゃんとしたオフロードバイクならもっと楽しいんだろうなあなんて思ったりした。

しかし、ここまでの1200mUPの登りがロードバイクでもそこそこキツかったのも事実。正直マウンテンバイクで登りたいとは思わないんだよなあ…。そう考えると、グラベルロードやCXが日本の旅人・自走ロングライド勢にはぴったりなのかもしれない。

 

さて、話は(御荷鉾スーパー林道のダートをロードバイクで走破してみた)の続きから。

下仁田まで下ってからは、眼鏡橋を経由して軽井沢に入る。

この眼鏡橋、訪れるのは2度目で、前回は横浜~金沢~能登半島一周を走ったときに通った。その時はスマホを封印して人伝いに道を尋ねて走っていた。そんな時、長野方面に行く高校生ローディーと一緒になって、通過したのがこの眼鏡橋。そういえば僕が在籍している大学が志望校って言ってたけど、結局どうなったんだろうか。そんなことを思い出しながら登った。

 

軽井沢も避暑地として有名なだけあって、標高が約900mとそこそこ高い。

昨日の夜から走っているという事もあって、軽井沢のヒルクライムを終えるころにはすっかり疲れ切ってしまう僕だった。身体へのダメージは例の御荷鉾スーパー林道のダートが最も大きくて、脚力というよりも体幹に効いていた。この体幹、ヒルクライムでメインに使う筋肉だから、やられるとこの先結構辛いんだよなあ…。

夕日に照らされる稲穂。美しい。

とりあえず軽井沢から小諸に下って、長時間の休憩をとってみた。時刻はまだ16:00になっていなかったから、これで回復してくれれば夕日のビーナスラインに行く予定だった。

しかし、どうにも疲労感は残ったまま。走れなくはないけど、正直楽しんで走れそうにはなかった。楽しめないんじゃ意味がないから、小諸~上田の間で休める場所を探した。

 

そして見つけたのが、道の駅みまき。

なんと温泉が完備されており、付近にも寝床になりそうな場所がたくさんあるではないか!明日も天気がいいので、ビーナスラインは明日にまわして今日は温泉に入って寝ることにした。

 

2日目

行程にビーナスラインへのヒルクライムが追加されたが、今日の走行予定距離は220kmちょっと。朝イチのヒルクライムさえクリアしてしまえば、あとは下り基調で八王子に帰るだけだ。

時間にも余裕があったので、日の出後のゆっくりスタート。

朝の心地よい風を感じられたのもつかの間。

どんどん気温が上がっていき、むわっとした風に夏の稲穂の匂いが立ち込めた。暑いのはごめんだけど、この匂い、すごくいいよね。

 

ダラダラ登っていても気温が上がってつらくなるので、脚を残しつつもさっさと標高を上げていく。

気温は上がっているんだろうけど、それに伴って僕自身の標高も上がっているから、あまり気温の上昇を感じない。むしろ、1300mを越えたあたりから風が心地よくなってきた。

白樺湖に差し掛かる途中、牧場があったので少し休憩。

牛もみんな暑いから、日陰で休憩してるようだった。動物って、ソロライドをしているとついつい話しかけてしまう。道端にいるシカにも、「おはよう!」とか「おお、ビックリしたぁ!」なんて声をかけていたりする。(笑)

この写真の乳牛、なぜかずっと僕の方についてきて離れなかった。どうしたのかな?とりあえず、おはようと元気でねの挨拶をして先へ進んだ。ウシ科の動物って、サイズがでかいから怖いけど、結構優しい目をしてるんだよなあ。

白樺湖を通り過ぎると、いよいよビーナスラインに入った!

この景色、高原感が満載で一気にテンションが上がる。

思えば、晴れた日のビーナスラインは初めてきた。

深夜だったり、霧だったり、雪だったり。(笑)まともな天気だと、こんなにも心地よい景色なのか…!!

酷暑はどこへやら、登りでもそよ風が心地よく、見渡す限りの緑はそのそよ風になびき、きらめいていた。このアニメのような光景を見ずに死ぬなんて、もったいないからぜひ訪れてほしい。それも自転車で。

自転車のスピードだから、完全な人力だから、見えるものかあって、聞こえるものがある。

こんな行楽シーズンだ。

月曜日とはいえ、かなりの観光客の数。ローディーも沢山いた。ヒルクライム中に見かけなかったから、だいたいの人は途中まで車で来たりするのだろうか?みんなパーティーを組んで走っていて、ソロは僕くらい。

僕は途中で止まって写真を撮ったり、思いっきり駆け抜けてみたり。好き勝手走るから、抜いたり抜かれたりで申し訳なかった。まあ楽しみは人それぞれ、交通は乱していないので許してほしい。

とはいえ、いつもぼっちの僕には少しここは賑やかすぎた。

違和感というか、『この景色を独り占めして、好きな音楽をかけながら、歌いながら自由気ままに走り抜けたい』そんな欲望がどこからともなく湧いてきて、それを実行できないのが悲しくなってしまった。

ここは夜間封鎖される道じゃないから、今度はやっぱり平日の深夜~朝焼けに来よう。そう心に決めて、僕はこの楽園を後にした。

これだから、やっぱり僕は一人が好きなんだよなあ。そう思ったり。

別に友達がいらないわけじゃないし、一人で生きていけるほど僕は強くない。というか寧ろ、世間一般よりも僕は弱いと思う。だけど、そんな僕が一人で走りぬいて、最高の眺めを独り占めにするその瞬間が、かえって病みつきになるんだろう。

ダウンヒルはあっという間だ。

絶景の道はいつしかなくなり、標高が1000mを切るともわっとした熱気が僕を包み込んだ。ここからは帰るだけ。今日泊まる八王子までひたすらに20号線基調で走る。

にしても、やはり標高が下がるととにかく暑い。路面や自動車からの熱気や、日焼けによる熱がハンパじゃない。これはしんどいぞ…。

たまらず、甲府付近の桃農園の直売所に立ち寄った。

「フルーツ街道」なんて名前が付けられた道は全国各地にあるし、農家の直売所はロングライダーなら1度は見たことがあるだろう。これらの多くはお土産としての配送や「○○狩り」を楽しむための窓口となっているけれど、お願いすれば単品で食べさせてくれたりする。のどか乾いてる時の果物は最高だ!

「すみません…喉乾いちゃって。今ここで桃を食べたいんですが、1個か2個、売っていただけませんか?」

農家のおばちゃんに話かけると、大抵快く迎えてくれる。店番をしているおばちゃんは暇している事が多いし、お土産用で人気なのは熟す前のものだから、今食べごろのものの商品価値は実は低い。価格もちょっとおまけして頂けたり…。

おばちゃん「あらあら、こんなに暑いなか大変でしょう。お茶でも飲んでゆっくりしてって!食べごろもってくるわね」

甲府の農園のおばちゃんも、僕を迎え入れてくれた。桃は柔らかいものを容易していただき、丸かじりにした。かぶりついた瞬間に広がる甘みと桃の爽やかな香りが僕を満たす。ああ…これなら暑い夏も悪くないな。(笑)

食べごろの桃と冷たいお茶で、ライフが一気に回復した。

あとは相模湖を抜け、八王子まで一気に走るだけ。

途中アップダウンはあるが、せいぜい200mUPなのでおくせず踏んでいく。そんなこんなで、今日泊まる家へ帰着。

途中バッテリー切れで走ったりしたから誤差はあるけど、さっくりの走行ログはこんな感じ。

テントでゆっくり休めたから、2日目も暑さに負けずに走ることが出来た。

それにしても、長野は涼しかったなあ…。これから温暖化もあるし、長野か北海道に移住したい。仕事なんてどこでも出来る時代が来るはずだから、自然が豊かな場所に住みたいなあ。それか、各所をめぐるための拠点を都市に構えるか。

 

林道のダートを含むロングを走って、愛車もかなり汚れてしまった。ちゃんとメンテして、次に備えなきゃな。今回も、僕を楽しませてくれてありがとう。

次は星夜の高原でも走りたいなあ…。

 

おわり

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