チャリ旅やロングライドでは、知らない土地に行くことはしばしばある。そこで直面する問題は迷子だ。自慢じゃないが僕はかなり方向音痴な方で、いつも友達に道の間違いを指摘されている。そんな僕がナビを持たず、自転車旅やロングライドで知らない土地に行っても迷わない方法を経験をもとにまとめていく。
<目次>
1.スマホに頼りたくない
2.方法①:道路番号と交差点名を覚える
3.方法②:遠回りでも国道だけを使う
4.方法③:方角を把握する
5.方法④:地形を把握する
6.まとめ
スマホに頼りたくない
高価なGPSナビを持っていれば何ら問題はないが、そんなものを持っていない貧乏ライダーにとっては、道迷いは切実な問題。スマホのナビ機能もかなり優秀だが、一日中使っているとあっという間にバッテリーがなくなってしまう。ホテルやネットカフェなどの充電できる場所に寝泊まりするならまだしも、野宿の場合はモバイルバッテリー分しか充電できないのでスマホに頼ってばかりもいられない。
バッテリーを気にして、こまめにスマホを開いてナビを確認するというのも大変面倒くさい作業だ。スマホを取り出しロックを解除して、地図アプリを起動し現在地を補足・コースを確認し、この先のルートを頭に叩き込む…という行程をしていると、走りに集中できなくてイライラする。
方法①:道路番号と交差点名を覚える
地図を見たくないなら地図を覚えればいい、という単純な発想から生まれたのがこの方法。なんていうか、ベタすぎる。(笑)
交差点には信号の横に交差点名が書いてあるので、マップでそれを調べておけば曲がる場所を絶対に間違えない。信号のない交差点の場合でも、道路番号を覚えておけば分岐を見逃すことがない。
しかし、この方法には決定的な問題があった。それは、たくさんの番号と地名を長時間覚えなくてはならないという事だ。(県道○○号⇒××交差点左折⇒国道○号⇒△交差点…)というルートを、何時間も覚えながら走るのは結構しんどい。最初はまだよくても、疲れてくる終盤にはもう嫌になるし、記憶違いによるコースミスも連発してしまう。
○分かり辛い道でも間違えない
○天候に関係ない
×記憶力が必要
×疲労や睡魔と闘いながらは不可能
方法②:遠回りでも国道だけを使う
僕が次に考案した方法が、この「国道だけを使う」というもの。国道には青看板といわれる、道を示す看板が要所に設置されている。有名な都市であれば県外からでも都市名の表示が青看板に出るので、国道だけを使うと割り切ればその表示を頼りに走り切ることが出来る。その場合、特に何も覚えなくても目的地まで走れるので便利だ。

実際に試そうと、横浜⇒金沢をスマホを封印し(もちろんナビは持っていない)走ってみたが、一度も迷うことなく走り切ることが出来た。難しいことを考えずに目的都市まで走れれば良いというなら、この方法は有用であった。
しかし同時に課題もある。それは一度道から外れると復帰できなくなることがある点と、バイパス迂回に失敗すると悲惨なことになる点だ。寄りたい店や峠を見つけた時やバイパス迂回の際に訳が分からなくなってしまうこともあったし、バイパスの様になっていて迂回したい道があっても、道を外れたくないという思いから我慢して走ることもあった。
○覚えることが少ない
○走りやすい道が多い
○長距離移動に有効
○天候に関係ない
×寄り道に適さない
×バイパス迂回に失敗しやすい
方法③:方角を頼りにする
都市や都市近郊など、道が多く交差点も沢山あるような場所の場合、興味をそそられるものが有ったり通りやすい道をその場で選択したかったりする。そんな場面で考案したのが、方角を考えて走ることだ。
方向音痴な僕は、何も考えずに走ると(というか考えていても)知らず知らずのうちに誤った方向に進んでいってしまう。それを防ぐために使えるのが方角だ。コンパスを持ち歩いてもいいし、天気が良い日は太陽や月を頼りにするのもよい方法だ。
太陽から方角を知る方法として簡単なのが、
⑴時計の短針を太陽の方向に合わせる
⑵短針と12時の真ん中の方向が南になる
というものだ。例えば、時刻が午後2時だった場合、太陽の方向に2時を合わせると、1時の方向が南になる。これをもとに東西南北を意識して自分の走っている方角を把握すると、曲がり角の連続でも自分の進むべき道を誤ることはない。もしちょっと方角がズレていたら、次の曲がり角で修正していけばよい。
ただし、これが使えるのは修正が出来る場面だけなので、一度曲がるのを間違えたら復帰不可能というような場所では使えない。また、天気の悪い日には太陽も月もでないので、同じく使えない。

○都市部で有効
○寄り道に強い
×天気が悪い(orコンパスがない)と使えない
×間違いが許されない道には適さない
方法④:地形を覚える
田舎道でも寄り道をしたいし、かといっていろいろな数字や地名を覚えるのも嫌だ。そこで編み出した方法が「地形を覚える」こと。地形とは、山・川・海といったもので、特に山と川が頼りになる。
あらかじめGoogleマップの地形表記で等高線を確認し、付近の山間部の稜線の形・尾根や沢の配置・川と道の位置関係を把握しておく(沢というのは、谷になっているような地形)。言葉にすると「は?」という感じだと思うけど、慣れるとこの方法が結構使える。登山の時の読図と似ていると考えてもらうと、少しイメージがしやすいかも知れない。
例えば『今走っている道には1,500m級の山があり、ピークは3つ。右側に高い山2つと低い山1つ、左側に海。』という感じ。基準となる道と地形を覚えておけば、左右に外れて違う山を登ってもなんとなく進むべき方向が分かる。間違ったときにも、『こんなに登るはずないんじゃ?』『この山が見えるのはおかしいんじゃ?』という様に気づきやすい。

余裕があれば『高い山と低い山の間の沢には道があり、川のある方なら街に続く。海に出ると道に復帰が難しい。』というような情報も頭に入れておけば、寄り道していいのか悪いのかの判断もしやすくなる。個人差があるかも知れないけど、僕は下手な数字や地名よりも、こういう地形感覚の方が覚えやすい。
また、標高差がなんとなく把握できるので、適切なペース配分が出来るという利点もある。

難点は霧が濃いときや森が深いときは、周囲の地形が見渡せなくなり道に迷うことだ。四国の剣山付近に行ったときには、濃い霧と深い森で方向感覚がなくなり、誤って街に行くつもりが森の奥の方へダウンヒルしてしまった(そのまま雨が強くなり深夜の山で両輪パンク、絶望を見た)。
○田舎で寄り道がしやすい
○適切なペース配分が出来る
○距離に対して覚えることが少ない
×天気が悪いと間違いやすい
×過信は危険
×都会には不向き
まとめ
どの方法にも向いている地域や天候があって、状況に応じて使い分ける必要がある。結局は組み合わせや使い分けが重要という事だ。ナビを買ってしまえば解決するとも言えるが、余計なものがない方がその時々の出会いを大切にできたりして楽しいのでは、と思ったりもする。上記方法を使えば、ある程度迷わずに知らない土地を走ることが出来る、旅をするなら失敗もまた適度なら旅のいい思い出だ。
一方、キャノンボールのようなファストロングライドでは道迷いは致命的なので、GPSナビは不可欠だと思う。長々と迷子防止策を書いてきたけど、ミスを確実に0にするのは至難の業だからだ。
そろそろお金をためてガーミン買おうかなあ…。(笑)
おわり