装備レビュー

モンベルのヘッドポーチはロードバイクにお勧め出来ない理由

モンベル製品は機能的ながらに低価格で、学生の僕には非常にありがたい存在だ。

しかし、この記事ではモンベル製品にあえて苦言を呈したい。モンベルの「ヘッドポーチ」を、どうしてもサイクリストにお勧めできない理由をこの記事では紹介していく。

<目次>
1.ヘッドポーチの購入経緯
2.具体的に何がダメか?
ー①スマホが見れない
ー②幅が広い
ー③ベルト設計
ー④表面素材
ー⑤ファスナーの方向
3.改良版でもおススメ出来ない

1.ヘッドポーチの購入経緯

まずは僕が「どんな目的で」このヘッドポーチを購入したかについて。

モンベルのヘッドポーチを買ったとき、僕はまだGPSナビGarmin etrex30xを持っておらず、スマホをナビ代わりに使えないか?と思っていた。また、バイクパッキングギアをそろえている最中で、普通にトップチューブバックが欲しいとも思っていた。

そこで見つけたのがこのヘッドポーチ。スマホを収納できるしトップチューブバックをしての役割も果たしてくれる。しかも学生にありがたいモンベル価格…。当時のぼくに買わない理由はなかった。

早速購入し、現在に至るまで約1万㎞、40℃を越える灼熱から-20℃の雪道まで使い倒してきた。しかしそれは金銭的理由で買い替えられず使っていたのであって、その道中では、決して満足いかない場面も多かった。

 

2.具体的に何がダメか?

では本題の「何がダメなのか?」について。

最初に断っておきたいのは、僕の持っているギアの多くはモンベル製品だし、基本的に満足し一定の信頼を置いているということ。僕がどれだけモンベル製品を信頼し愛用しているかは、このブログの他の記事を読んでいただければ分かるはず。また、あくまで”僕の使用環境において”得た知見であることも断っておきたい。もしこのヘッドポーチを愛用している方がいたらすみません…。

さて、前置きはこのくらいにして本題へ。

 

①スマホが見れない

初っ端からそもそも論になってしまうが、ロードバイクの場合トップチューブに取り付けたスマホを見るのは至難の業だった。

トップチューブが長くアップライドなクロスバイクやMTBならまだ見えるかもしれないが、前傾姿勢が強く顔の位置が前寄りなロードバイクではそもそもスマホを見られない。「停車時に操作できる」というのも売りのようだが、この位置のスマホを操作するのはロードバイク(特にトップチューブをまたぐ状態で停車したとき)では困難だ。普通にバックポケットからスマホを出した方が圧倒的に早いし操作性がいい。

ロードバイクでの使用を前提とした時点で、売りである「スマホを見て操作できる」というポイントが崩壊する。

結局スマホは入れなかった

しかも、ロードバイクに限らず、単純にスマホを見たいなら専用のハンドルバーマウントを買った方が圧倒的に使い勝手がいい。当然サイクリング中には、休憩でスマホを持ち歩くだろうしサッと写真を撮りたいこともあるだろう。ヘッドポーチはスマホの取り出しがいちいち面倒で時間がかかる。

このヘッドポーチは防水でないから、雨対策としても意味を成さない。だったら普通にハンドルバーマウントを買った方がいいのでは?

 

②幅が広い

次にいけないのが、約8㎝という幅。ダンシングの時に膝に当たりまくるし、少し左右にズレると普通にペダリングしているときにも膝に当たるレベルだ。寸法を正確に記すと、上端が9.0㎝、真ん中が8.5㎝、下端が7.5㎝(実測)

「ダンシングで膝に当たる」というのはトップチューブバックの宿命ともいえる欠点だが、このヘッドポーチは「スマホを入れられる」という機能のために、ヘッド側~手前側に至るまで幅が広い。しかし、そもそもスマホを入れても使いづらいから無意味…。

←モンベル ブラックバーン→

例えばブラックバーンのトップチューブバックを見てみると、最大幅は7.5㎝(実測)と若干狭いうえ、手前になるにつれて細くなっているのがわかる。これによって、膝に当たった時の不快感・バックのズレを軽減しているのだ。

モンベルのヘッドポーチ手前までしっかり幅広なので、凄く膝に当たるしズレる。そう、次の問題はこの「ズレる」だ。

 

③ベルト設計

(これは旧商品に関する話だが)取り付けベルトが短い。一般的なカーボンフレームのロードバイクのトップチューブには全く対応していない。よって、僕はマジックバンドでベルトをつぎ足して使っている。(現行の新商品は改善されて長いベルトになっている)

また(これは現行品にも言えることだが)ベルトが細く、滑り止め加工が全くない。

先に書いた通り、このヘッドポーチはスマホ対応形状にしている所以で、普通のトップチューブバックに比べて膝に当たりやすい。それなのに、肝心の固定ベルトが華奢なせいで膝に当たるたびにバックが左右にズレる。

コラムへの固定ベルトは細いのは仕方ない。が、なぜか本体と一体になっていない。

ここが本体と一体でない場合、バックルの位置が自由に決められる反面、本体が左右にズレやすい。トップチューブ側のベルトと相まって、さらにズレやすい状況を生み出している。トップチューブ側は固定にしたのに、なんでコラム側は一体型にしなかったんだ…。

ズレるとこんな感じに片側へ張り出す。因みにベルトを本気で締めてもこうなる。

バックが左右にズレると、普通にシッティングでペダリングしているときにも膝に当たるようになるし、見栄えも使い勝手も悪い。これをいちいち手で直すのはライドにおいて大きなストレスになる。「塵も積もれば山となる」いい例である。

←モンベル ブラックバーン→

再びブラックバーンのトップチューブバックを例に出すと、その差は一目瞭然だ。ブラックバーンのベルトは滑りにくいラバー素材で、圧倒的に幅が広い。おそらく「幅が広い」というのがポイントで、幅広なベルトが左右へのズレを防いでくれる。使用距離はまだ短いけど、ブラックバーンのやつは全然ズレない。

 

④表面素材

続いては表面素材。ここでいう表面素材とは、スマホ収納部分の透明な素材のことだ。

「スマホ画面を見つつ、操作も可能」という謳い文句だが、耐久性に乏しずぎる。数千㎞走っただけで端の方からひび割れてきて、それが膝に当たるのでウエアの内もも部分がボロボロになってしまった。

先に述べた理由からスマホを収納することはなかったので、僕は早々にハサミで切り取りスマホ収納機能をオミットしてしまった。この幅のトップチューブバックはダンシングで膝に当たること必至なので、せめて耐久性が高くウエアを傷つけない素材を使うべきだと思う。

 

⑤ファスナーの方向

防水性は求めていないから止水ファスナーでないのはいいとして、ファスナーが開く方向が悪い。

サドルのやや前方に座ってこの位置。腕の位置関係から分かると思うけど、手前開きだと使いづらい。

これもロードバイクのポジション特有の問題かもしれないが、開けやすい&手を入れやすい方向は「左右サイド」か「中央」だ。このフロントポーチは「手前」に開く構造なので、開けにくいし取り出しにくいし中身を落としそうで怖い。

これは僕のポジションの問題(身長に対しピッタリかやや小さめサイズを乗っている)もあるかも知れないけど、信号待ちでも多少のストレスがある。

他社製品のトップチューブバックを見てみると、「サイドが開くor真ん中が開く」になっているのはそのためだと思う。ロードバイクで使うなら、絶対にサイドか真ん中から開くタイプにした方がいい。↓サイドが開くタイプと真ん中が開くタイプ

また、ファスナーの位置的にファスナーを引いたときバックがズレる方向に力が加わる。先に書いた通りベルトがズレやすいので、場合によっては開け閉めでもバックがズレる。

 

3.改良版でもおススメ出来ない

僕が使っているのは、おそらく現行品の1世代前のモデル。現行品はベルトが延長&ベルトと本体の固定方式の変更が行われたようだ。ちょうど友人がその現行品を使っていたので、写真を送ってもらったのが下画像。

本体にベルトループが追加され、ステム上への取り付けにも対応したようだ。ステム上に取り付けて使えば、スマホが取り出し辛い以外は種々の問題点をクリアできるかも知れない(ステム上の使用感は不明だけど、固定法的にズレにくそう。ロードバイクへの見た目はイマイチかな…?)

↑ 改良版の現行品

しかし、それ以外は改善は見られなかった。相変わらずベルトは細いし、本体と一体になっていない・そもそもスマホ収納には向いていない・膝に当たる&ズレる・ファスナーの方向が悪い。トップチューブに取り付ける場合、使い勝手が悪いのは相変わらず。

さらに、ベルトと本体の結合部が写真のタイプに変わったが、本体側のスリットが長期使用で千切れそうになってくるようだ。これも使用環境によるかも知れないが、友人の使い方はそこまで極端なものではないはず。僕みたいに雪道ライドやグラベルライドもしていないし。

繰り返すが、前傾のきつくないバイクでの使用はまた別問題なのかも知れない。愛用している方がいらっしゃったらすみません。でも、僕は少なくともロードバイクでの使用はおススメ出来ない。

ロードバイク乗りのあなたには、ハンドルバーへのスマホマウントと他のトップチューブバックを別々に購入することをお勧めする。

*スマホマウントは、アメリカ横断したショータローさんが絶賛しているTigraSportsのがよさげ。トップチューブバックはブラックバーンのやつを試している最中だけど、現状悪くないです。↓

おわり

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