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バイクパッキングを始める前に知っておきたかった8つのコツ・注意点

バイクパッキングは、今やロングライドやキャンプライドの定番スタイルだ。

僕のツーリングももっぱらバイクパッキング。やっとギアも一通り揃い、2,000㎞を越えるテント泊ライドから真冬の北海道まで、多くのライドで用いてきた。

この記事では、その中で気が付いた「あ~これ、初めから知っておきたかったなぁ」というポイントをまとめていきたい。

<目次>

1.フレーム保護必須

2.総重量/積載量は悪化する

3.「容量○○L」を過信しない

4.積載MAXで出発はNG

5.固定具は余分に持つ

6.配置とバランスが肝

7.市販品は大抵70

8.細々と金がかかる

番外.それでも楽しい!バイクパッキング

1.フレーム保護必須

まずは一番大事な(?)フレームの傷問題。バイクパッキングでは主にフレームに直接バック類を取り付けるので、バックや固定ベルトが擦れて最悪フレームに傷がつく。

取り付け前の養生は必須?

塗装が完全に剥がれるほどじゃないが、表面のクリアに傷がついたり、マット塗装が擦れてテカってきたりするのは覚悟した方がいい。マットブラックが特徴だった僕のバイクは、残念ながらもうテカテカ…(笑)

「絶対に愛車を傷つけたくない」という方はたぶんバイクパッキングはしない方がいいし、そうでない方も何かしらの対策をした方が無難だ。

割り切ってダートも楽しむ!(笑)

僕はもう「愛車の傷も思い出のうちさ!」と割り切ってるので気にしてないが、いろいろ試しはした。

まずは薄手のウレタンゴムシートで、これをフレームに巻いてからバックを取り付ける。滑り止めとしても効果があるし、普通に傷も入りにくいので良かった。しかし、数千㎞単位になるとゴムシートとフレームとが擦れてうっすら傷やテカりが…。

トップチューブやチェーンステーに巻いている

最近見つけたのはサバゲなんかで使われる迷彩テープ。包帯みたいにノリ要らずでテープ同士がくっつく仕組みで、簡単にフレームに巻いて養生できる。これにも滑り止め効果があるし、見た目のアクセントにもなって気に入った。柄の種類が豊富、しかも超安い。ここ重要

↑ 1.5ロールで上の写真くらい巻ける

注意点は長期間使用するとベタつくこと。僕は先にラップを巻いておいて対処している。

 

2.総重量/積載量は悪化する

次に重量について。

キャリア+パニアに比べ、バイクパッキングは軽い!というイメージが一般的に思うが、一概にそうとも言えない。

パニアスタイル

例えば25Lの積載をするとき、バイクパッキングはサドルバック+フロントバック+フレームバック+…+etc.とたくさんのバックを使うが、パニアスタイルは軽量キャリア+パニア1つで事足りる。

つまり、「バイクパッキングより軽量キャリア+シングルパニアの方が軽い」なんてことも十分あり得る。

結局は装備の量

しかも、バイクパッキングをしていると「ここにアダプタを噛ませたいな」とか「固定のためにベルトを増やそう」みたいな付随的重量増加も多い。前述したフレーム保護具も然り。

軽量化の本質は、バイクパッキングではなく装備の吟味と最適化であることを忘れてはならない。

 

3.「容量〇〇L」を過信しない

バイクパッキングギアには必ず書いてある「容量:〇L」の表示。しかしこれが厄介者だ。

結局、僕の装備はこのバックに入るの?」という一番大事な情報がさっぱり分からない。(笑)

初心者の方は特に「容量〇〇L」という商品説明がぴんと来ないと思う。

これで合計約35L

リットルという単位で来ると「2Lペットボトル何本分かな?」とか考えてしまうが、体感ではその換算の半分くらいしか入らない。

これには幾つか理由がある。ギアは固有の形状があるので上手くパッキングしないと無駄な空間が生まれるし、頑張って詰めてもそれをゼロには出来ない。さらに、バイクとの相性でパンパンまで詰め込めないことも多いのだ。

バックの購入前には、商品寸法を頼りに紙を実寸大に折ってみるとイメージがつきやすい。これはフレームバックが取り付けられるかを試すときなんかにも役立つのでかなりおススメ。

とにかく表示容量はかなり低めに見積もった方がいい。

 

4.積載MAXで出発はNG

さて、悩みつつもバックを購入、装備もパンパンになったがなんとか詰め込んだ。いよいよバイクパッキングデビュー!

…といきたいところだが、装備はパンパンに詰めない方がいい。

補給食専用バックを持つことも

家を出る時点でバックがパンパンだと、ライド中に買い足した補給食や脱いだウエア、ゴミなどが入らなくて困る。

もちろん数十㎞くらいのショートライドなら問題ないこともあるが、トラブルはつきものなので余裕を持つに越したことはない。ライドの計画を見なおして、最も積載が多くなる時に合わせてバイクパッキングを組み立てる必要がある。

何かと便利なサコッシュ

とはいえ、手持ちのバイクパッキングギアでは足りない、という事も多いと思う。

そんな時はサコッシュや超軽量リュックが便利。重量物を運んだり長距離移動をしたりするのには向かないが、「キャンプ場までの買い出しに」とか「どうしても食べたいお菓子を見つけた」「輪行時の荷物を入れたい」みたいな場面では大活躍する。容量不足は後悔の元なので、ぜひ余裕をもった計画を。

↑オシャレなものも多いので、ファッションアイテム的に持つのもカッコいいかも。 

 

5.固定具は余分に持ってく

出発時は問題なくても、ライド中にベルトが緩んだり取れてしまったりすることがある。バックの取り付けを補強するために、固定ベルトの予備を持っていくといい。

道が悪いと余計リスクが高い

特にバイクパッキング初心者のうちや初めてのギアを使うときは、アクシデントに見舞われやすい。ベルトの種類によっては走行振動でだんだん緩む、なんてことも。

普通の紐でも何とかなるが、安価で手軽なものだと、おすすめはマジックバンド。(下に追記したベルトの方がおススメ)くるくる巻いておけばバラけることなくコンパクトに持ち運べるし、どこでも固定できるので汎用性が高い。何重にもまけば簡単に固定力を高められる。僕はいつもハンドルの隅に巻いておいている。

ちなみに結束バンドも何かと便利

注意点はギザギザの面がフレームを傷つけること。傷つけたくないものにはフサフサの面を当てたり、何かしらの養生をしたうえで使用する必要がある。また、重ね巻きをしないと固定力に不安がある。ぐるぐる巻きつけるイメージで使うのがいい。

 

【2019.10.08追記】

固定ベルトについては、マジックバンドよりも値は張るがバックカントリーで使われる「スキーストラップ」なるものが非常に良いのでこちらをぜひおススメしたい。インスタなどで世界のバイクパッカーを見ていると非常に使用率が高いし、僕自身が使っても緩まず滑らず使いやすいと最高だった。(画像のオレンジ色のベルト)

商品はこれ。ブラックダイヤモンドの方がゴムぽくて柔らかく滑り止めが効き、Voileの方が硬くてさらさら・耐久性のありそうな素材だ。ベルト幅が太めなので場所によってはマジックバンドの方がいい可能性も捨てきれないが、固定具としての性能が格段に高いのでこっちの方がおススメ。

 

6.配置とバランスが肝

実のところ、僕がバイクパッキングに興味を持ったのは「なんか見た目がカッコいい!!!」というだけだった。(笑)

それがライドを重ねるうちに、バイクパッキングの良さは、①重量バランス、②荷物へのアクセス性、を最適化出来ることだと思うようになった。

この重心と荷物へのアクセス性は、ツーリングの快適さに大きく影響する。

①重心は、バイクの中心かつ低い方がいい(もちろん最終的には個々人の好みだけど)。現実的にはバイクの中心=BB付近に積載可能な荷物は限られるので、前後左右のバランスを考えてパッキングする。ちなみに僕は、ややフロントが重い方が走りやすい派だ。

高低については、重心が低い方が安定するしダンシングが楽になる。これについては恐らく争いがない。

②荷物へのアクセス性は、バックごとの用途の使い分けにある。

例えば、ライド中に使う補給やバッテリーはフロントに、ライド中に使わないテント内用具はリアに。レインウエアにしても、ジャケットはバイクに跨りながら着脱するのでフレームバックorフロントバックだが、パンツはバイクを降りる必要があり軽いのでリアに配置する、といった具合だ。

とにかく自分が「いつ使うのか?」と「重いか軽いか?」を考えて、最適な場所に配置する。この努力は、積載箇所がたくさんあるバイクパッキングで最大限に生かされる。

じつは、重心管理とアクセス性の意識は登山のパッキングに似ている。山岳部では30㎏になるザックを背負って歩くこともあるが、重心の管理で重さの感じ方に雲泥の差があった。バイクパッキングに使えるものないかな~と登山系の本を見てみるのもいいかも知れない。

 

7.市販品は大抵70

バイクパッキングギアは、今やApidura等メジャーブランドをはじめ、R250のような格安系ブランドまで、あらゆるメーカーが企画販売をしている。

しかし、値段やブランドにかかわらず、市販品をポン付けした状態で100%満足できることはまずないと思う。

というのも、結局、市販品は「多くの一般的なバイクにマッチする最大公約数的なギア」であって、「自分のバイクにピッタリのギア」ではないからだ。

例えばフレームバックは、メーカーが用意するサイズはせいぜい2~3種類。ところが、実際のフレーム内寸法はフレームの型番×サイズ分だけ存在する。さらに欲しい性能(放水性、軽量性、容量、荷室形状etc.)はユーザーによって異なるから、自分が欲しいギアが売っているなんてまずあり得ない。

上級者の方々には、バイクパッキング用品を自作する人が多いのにも頷ける。使えば使うほど、「ここを1㎝伸ばせないかなあ」とか「ここに拡張ベルトが欲しいなあ」というような改善点が見えてくる。

勘違いしないで頂きたいのだが、僕は商品に全く買う価値がないと言いたいのではない。寧ろいろいろなものを実際に試し、自分なりにアレンジを加えるのもバイクパッキングの楽しみだと言うことだ。

バイクパッキングなんて何でもありなので、本来想定されていない用途でも、アイディア次第で快適性やライド性能が格段に上がったりする。

市販品にこだわる必要すら特になく、バイクに荷物を括り付けさえすればいい」というくらいのスタンスでいい。タイヤの端材やプラスチック板、固定ベルト等を組み合わせれば意外とうまくいく。ガラクタから工作する楽しみもある。

その際、確実な固定ができるかだけは要注意で、特に固定ベルトが緩むのは致命的荷物の脱落だけでなく、ベルトの巻き込み→落車なんてことにもなりかねない。

今のところ緩まないベルトで気に入っているのは、ブラックバーンのカーゴケージ付属のベルトと雪山登山で使うアイゼン用ベルト(右のようなもの)自転車用でもなんでもいいのだが、とにかく安全のために緩まないものを。

【2019.10.08追記】

前述したが、固定ベルトはVoileストラップスキーストラップが最強なので買うならこちらがぜひおススメだ。

 

8.金がかかる

もうお気付きの方も多いと思うが、バイクパッキングは金がかかる。主要なバックをフルセットで揃えるだけで2〜3万円。

さらにサイズ違いを買ったりアダプタを買ったり…単価が高いものは少ないが、合計金額で見るとかなりのものだ。

これまで書いた様に、バイクパッキングは自分のバイクや走りに対する最適化が肝となる。そのためギアを買っておしまいにはならず、追加的支出が多くなってしまう。

これもネジを延長しゴムを買いなおした

バイクパッキングに関する出費はそれだけでは無い。

限られた容量に積載するため、テントやマットからウエア、チューブに至るまで小型軽量のU.L.系ギアが欲しくなる。そしてU.L.系ギアは高価だ。

キャンプや野宿をしない方はこの限りでは無いが、「バイクパッキングスタイルでキャンプしたい!」という方はある程度は覚悟が必要。また、ケチって中途半端なものを買うと結局余計な出費とストレスが増すだけ。買うなら、是非自分が買える範囲で最高のものを。

 

番外.それでも楽しい!

ここまで、傷が付くだの金がかかるだの、マイナスイメージの内容をたくさん書いてしまった。だから最後にこれだけは言っておきたい。

『バイクパッキングは超楽しい!』

ライド計画時には、何処に何を積むか?というパズルゲーム的な楽しみがある。上手くいくと走っていてすごく気持ちいいし、正解を見つけた快感はめちゃくちゃ大きい。もう走りながらニヤニヤしちゃう。

そしてギアを改良して自分仕様にしていくのに、D.I.Yのようなワクワク感も

そして見た目がカッコいい!

これは理屈抜きにカッコいい。もう間違いない。直感がそう囁いている。笑

このカスタムしてる感、ゴテゴテして強そうな雰囲気。「男の子ってこういうの好きなんでしょ」的な要素満載だと思う。(いや、ただの中二病か?)

他の人のバイクパッキングを見ると、ギアの選び方とか取り付け方とか、その人なりのコンセプトがあり性格が出る。

バイクパッキングは必然的にその時の走りに最適化された形になる。その結果、「旅」感があるのに「洗練」されている、面白いスタイルになると思う。

手間暇かかるけどそれ以上に楽しいので、バイクパッキング沼にも足を突っ込んでみてはいかが?

おわり

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