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毎日300㎞をテント泊で走るために意識したこと

自分でも信じられないのですが、先日北海道一周の2,460kmを194時間(8日2時間)で走ることが出来ました。北海道一周の他記事・まとめはこちら

詳しくは後述していますが、僕は『一般的に健康的な若者』ではあっても『特別脚力がある人』や『回復が早い人』ではありません。

ロングライド界隈には化け物みたいな人が沢山いて、僕なんかよりももっとすごい人は沢山います。それでも、一般人レベルの僕が『毎日300㎞を走った方法』は逆に皆さんの参考になるかも?と思ってこの記事を書いた次第です。(同じことをしたいと思う方がどれだけいるのかわかりませんが…笑)

この記事では、北海道でうまくいった走り方や意識したポイントを「ロングライドスキル」と「テント泊スキル」に分けてご紹介したいと思います。

<目次>
1.まずは僕の脚力を公開
2.ロングライドスキル
ひたすら「食べる・楽しむ」
休憩・補給方法
アメとムチ
ブレーキを使わない
登りで回復するバイクの状態に気を配る
3.テント泊スキル
設営・撤収時間を削る
テント内生活を快適にストレッチを欠かさない
3.機材・ウエア選びも慎重に
4.まとめ

1.僕の脚力

『毎日300㎞を走る』と言っても『300㎞なんて走ったことねーよ!』という方から『ん?300㎞とかゆるポタじゃね?w』という方までいらっしゃると思う。

そこで、本記事の記述のニュアンスを理解していただくために、まずは僕の脚力についての話。(興味ない方、飛ばしてください)

僕の脚力

・身体:177cm / 65kg / 体脂肪率13% / 20代前半

・FTP:230w(PWR3.5)*Zwift値

・スポーツバイク歴:3年

・横浜→仙台を約18時間で走る程度の走力

ネット上に公開するのがかなり恥ずかしいが、2018年夏現在の僕のスペックはこの程度。

北海道一周では、基本的にグロスペースは20㎞/hで、300㎞を15時間かけて走った。

FTPはパワーメーターの実測値ではなくZwiftの概算値でしかないので正確性に欠けるものの、実走のスピードと比較してもこのくらいかもう少し低い感じ。測定したことがない方にとっては意味不明な値だと思うが、FTPは『1時間に維持出来るギリギリのパワー』でその人のおおよその強さを表す。

なんていうか、特徴の無い身体

ホビーレースで勝つ人は、僕の体格ならゆうにFTP:300wくらいは出しているので、レースじゃ僕は超雑魚の部類である。ホビーレーサーの剛脚ピラミッドというサイトの『並脚』。要は一般的なロードバイク乗りの脚力だ。(レースでゴリゴリ走っている方は、間違いなく僕より戦闘力が高いと思う。)

それでも逆に言えば、短い距離のスピードがない人でも、ロングライドならノウハウでカバーできる領域があるという事だと思う。

 

2.ロングライドスキル

さて、本題の1つ目である走り方。内容は一般的なロングライドのコツと共通する部分もあるが、距離が長く連日になるため異なるところもある。

ひたすら「食べる・楽しむ」

まずは普通のロングライドでも基本となる「食べる」ことと「楽しむ」こと。当たり前のこと過ぎるが、何事においても基本は大事だ。

100円パスタは食べまくった(笑)

毎日エネルギーを大量消費する(走る分だけで1日5000㎉以上)ので、それだけのエネルギーを取り込み消化吸収しなくてはならない。1日だけなら脂肪を燃やして何とかなるが、1週間以上走ると限界が来てしまう。

北海道一周では、カロリーをマイナスにしないよう休憩でも走っている最中でもひたすら食べた。お腹が空いたと感じることは1度もなかったほどだ。それでも、帰宅後は体重が3㎏減っていた。

こんな環境だとただ走るのは苦痛だ

「楽しむ」というのも同じく欠かせない。当たり前だが、走る気が失せたらどんなに体力があっても走れない(笑)。いくら自転車に乗るのが好きだといっても、毎日15時間も自転車に乗り続けるのは訳が違うし、快適なライドが出来ないときだってある。疲労がたまってきた時、向かい風や雨の時、トラブルがあった時…etc.

そんな時、ただ耐えるのではなく「意識的に楽しむ」ことが必要になる。例えば歌を歌ったり、自分でゲームを考えてみたり。歌うのは手ごろなので多用したが、後半は喉が枯れて歌うのが辛くなったので、よく1人でゲームをした。

白線を走り続けるのは結構難しい

ゲームといってもスマホゲームのようなものではなくて、「サイコンの数字が200㎞になるまでに看板が何個あるか当てる」とか「白線から20㎞出ちゃいけない」とかそういうものだ(笑)。

なんか馬鹿みたいだが、こういう気まぐれがあると意識が違うところにいって精神的に楽に走れたりする。因みにこれ、「補給の時に好きなお菓子を買える」みたいな賞品を設けておくとなおいい。(笑)

 

休憩・補給方法

実際に僕が走ったときのタイムスケジュールはこんな感じ。日によって走行距離が250㎞~330㎞まで幅があって、時間は多少前後しているものの、頭の中で意識したのはこのペースだ。

上の表で「休憩」は、コンビニでの食事と休憩を意味する。1時間ごとの枠で書いているけれど、休憩や撤収などは20分程度。例えば5時台には、朝食のあと撤収・メンテを終え走りだしている。

実は僕、北海道一周中にコンビニ以外で飲食を一切していない。その理由は『時間短縮』と『食費節約』。これを友達に言うと、必ず勿体ないとか考えられないとか言われるのだが、多分これをしなければ毎日300㎞は僕には厳しかったと思う。

ロングライドを早く走るために最も重要なことは『止まっている時間を短くする』こと。つまり休憩の間隔を長くし、休憩の時間を短くする。北海道一周では、休憩は必ず50㎞以上走ってからにし、休憩時間は各20分とした。

パスタ2つが定番メニュー

コンビニの利点は ①買うものを事前に決められる ②会計も食事も早い ③ライド中の補給食も一緒に買える、の3点だ。(そしてお財布にも優しい)

時間に余裕があれば、普通の飲食店に立ち寄ってゆっくりと美味しいものを頂きたいが、僕にはその余裕がなかった。食事のみなら飲食店でも20分以内に済ませられるが、補給食も買わなくてはならないため、結局コンビニには立ち寄ことになる。そのトータルの時間や、二重に発生する駐車時間・店舗検索時間・会計時間が勿体ない。

それにいつも同じものを食べた方が体調のコントロールがしやすいし、摂取したカロリーや栄養素が感覚的に分かる。エラーをなくすために、可能な限りルーティンを作る。

 

アメとムチ

続いては精神的に自分をコントロールするためにしたこと。辛いことを乗り越えさせるには、ご褒美を与えてあげるのが一番だ。

いつもは温泉やグルメがそれにあたるのだが、時間的に今回は無理。心理学的にも、ご褒美はすぐに与えてこそ意味がある。今回、アメとして設定したのは「好きな補給食」。

補給食は、どんなに飽きても基本チョコバー(今回はキットカットの長いやつ)のみにして、1本だけ自分の好きなもの(一本満足バーのグラノーラ)を買っておいた。こうすることで、コンビニで買える補給食に価値の差がつく。キットカットは早々に飽き、元々好きな一本満足バーが食べたくて仕方なくなる。

それでもキットカットだけを食べ続け、気象条件や疲労で本当に辛いときに「あと○○km走ったら一本満足バーを食べていい」とか「看板の数を当てられたら食べていい」みたいにして乗り越えた。

こうして後日文章にするとささやか過ぎるご褒美に思えるが、実際に毎日走ると結構効いてくる。(笑)

 

ブレーキを使わない

公道のライドをするとき、大きな無駄になっているのはブレーキングだと思う。せっかく加速し維持しているスピードを、ブレーキによって減速させるのは非常にもったいない。

市街地の少ない北海道ではブレーキが必要な場所は少ないけど、下り坂やコーナーでも極力ブレーキを使わなくていいように、無駄な加速を避ける。

 

登りで回復する

他の記事でも沢山言っているけど、「登りで休む」のは僕の走り方の肝ともいえる

厳密にいえば、もちろん自転車を走らせているから疲労はする。それでも、平坦よりも楽に走り、平坦で披露した筋肉や筋を回復させることが「登りで休む」という言葉の意味である。(つまり、登り自体が得意なのではなく、平坦や下りも含むコース全体の休憩区間にするという意)

まず大事なのがバイクの重量とギア比で、無理のないトルクで踏めるのが最低条件だと思う(僕は脚力がないのでインナーローは34t×32t)。そのうえで、息の切れないペースでタラタラ登る。

その時、平坦のTTポジションで疲れている腰や首を楽な姿勢にしてストレッチも織り交ぜる。余裕がある斜度の時には、ヘルメットをとって肩回りや腕の筋も伸ばしておく。それだけでもかなり体が楽になる。

そして、緩い斜度の下りの時にはクリートを外して、太腿の前側のストレッチもする。ここを伸ばしておくと、膝が痛くなるリスクをかなり軽減できる。

1000mUPまでは楽に登れるようになった

実際の走りが多少大変だったとしても、気の持ち方を変えるだけでも効果は大きい。登りが来るたびに「ああ、嫌だなあ」と思うよりも「よし、休憩区間が来た」と思った方が、結局同じ疲労をしたとしても楽しめる。

ロングライドは心が折れたら終わりなので、なるべく自分が前を向き続けられるようにした方がいい。

 

バイクの状態に気を配る

乗りかたという意味とは少し異なるが、ロングライドにおいてバイクの状態に気を配っておくのは必要不可欠だ。特に2400㎞を越える長距離ライドともなれば、走っているうちにパーツは消耗しバイクの状態も変化する。雨に打たれ路面の汚れを拾い、摩耗する。

メカトラは重大なタイムロス

基本はバイクのメンテナンス。僕はいつも、毎朝出発前に各部のチェックとタイヤの空気入れ・異物確認、チェーンへの注油を行う。走り終わった時にやった方がいい気もするが、1日中走る場合は設営時には暗くなっていて集中力も欠いているので時間効率的に朝がベストだ。逆に、明るいうちに走り終えるイージーライドならその日のうちにメンテした方がいい。

そんなに時間は掛けられないし、かさばる専用工具も持っては来れない。フレームやチェーンの汚れ落としには自分の体を拭いた後のボディーシートを使い、チェーンオイルは弁当用のしょうゆ入れに小分けにして携帯した。

タイヤのチェックは欠かせない

そして、走っているときにもバイクの状態を意識。シフトのフィーリングやブレーキのタッチ、パッキングのバランス…。

何かいつもと違う感じがするときには、どこかに異常があるという事。これになるべく早く気づかないと、対処可能な街が数100㎞間隔でしかない北海道では命取りになる。「このシフトのもたつきはチェーンが伸びてきたからだな」とか「シフトワイヤーがほつれて来てるかも」、「ブレーキのタッチが悪いのはホイールが振れてきたかな」「ダンシングでバランスが悪いのはサドルバックの取り付けが緩んできたかな」といった具合に。バイクの状態を感じ取って、休憩の時にチェックし対処する。

現に、北海道入りの前にワイヤーやチェーンは交換していたが、予想外にも横浜⇒青森へ自走している間にリアのシフトワイヤーが切れて(正確にはほつれて)しまった。こういうイレギュラーが起こったときに、シフトワイヤーが完全に切れる前に気づき引き返し修理できるか、気づかず先へ進みシングルギア運用する羽目になるかの差は大きい。

 

3.テント泊スキル

次はテント泊スキル。キャンプツーリングをする人でないと関係ないかも知れないが、僕のライドスタイルでは肝の部分だ。

設営・撤収時間を削る

当然のことだけど、僕は「テントの設営と撤収が大好きで、そのために北海道に来た」訳じゃない。テント泊やキャンプは好きだけど、設営と撤収は面倒くさい。(笑) 

ゆるキャンなら設営・撤収時間も楽しむのかも知れないけど、僕は一刻も早くテントに入って寝たいし、朝は1秒でもシュラフに包まってダラダラしたいんだ。

もう一度タイムスケジュールを見ると分かる通り、時間的余裕の無さがその必要性に拍車をかけた。毎日300㎞走ってヘロヘロになっているのだから、少しでも長く寝て回復しなくてはならない。テント内でダラダラするのも、精神的回復のために非常に重要な時間だ。

設営と撤収は「早くすることを意識した回数」を重ねるほど早くなるから、僕は必ず毎回時間を測る。自転車にパッキングされた状態から、いつでも寝れる状態まで何分で出来るかのゲームだ。そうすることで無駄に気づける。サドルバックに詰める順番や荷物の置き場所、スキップできる手順が明らかになっていく。それがまた楽しい。

北海道でのタイムは、テント設営まで5分、着替えとテント内環境整備に5分。風かあったり蚊が多かったり、イレギュラーがあると+5分という感じ。まだまだ遅いが、最初は30分かかっても終わらなかったのでかなり進歩した。

 

テント内生活を快適に

テント泊での連日ツーリングは、テント生活でいかに回復できるかにかかかっていると言っても過言ではない。(回復というのは、体力的・精神的の両方でだ)テント内の快適度は、翌日ひいてはツーリング全体の質に大きく影響する。これだけは間違いない。

寒さや暑さで夜中に起きると疲れは取れないし、ある程度リラックスして寝られないと精神的に続行不能になる。ロングライドでは体力と精神力が同じくらい大事だ。

だから、寝る前に夜間の気温を確認してウエアやシュラフのかけ方、テントのベンチレーションの開け具合を決め、夜起きないように気を配る。汗でべたついたウエアは脱いで、いい匂いのボディーシートでリフレッシュする。充電もできるから、好きな音楽を聴いたり動画を見たり。とにかく好き放題する。

*テント内で安心して寝られない、という方へ
そんな方がこの記事を見ているのか分からないが、そんな方がいたらまずはこちらの記事を参考に野宿を数回してみてほしい。僕も小心者なのでテント内でいびきをかいて寝られるタマじゃないが、もっと緊張感のある経験をするとテントが天国になる(笑)

そして、上記以外に僕がすごく大事だと思っていることに「全てのものの置き場所を決める」というのがある。例えば脱いだウエアやシューズ、財布や携帯の貴重品、明日の朝ご飯etc.。狭いテント内は自ずとごちゃごちゃしがちである。しかし、ほしいものが欲しいときにすぐ手に取れる、というのは本当に大事だことだ。それを守る癖をつけるだけでも、テント内生活はストレスフリーになると思う。

なんだかんだで最強キンチョール。

最後に、虫対策。北海道では網走あたりで、大量の蚊の襲撃を受けてひどい目に逢った。蚊がうようよいる場所では殺虫剤が最強だが、何かしらの虫対策は必須だ。

 

ストレッチを欠かさない

一度テント内に入って落ち着いてしまうと、1日の疲れで今すぐに寝てしまいたくなる。しかし、翌日のためにはどんなに疲れていてもストレッチはした方がいい。

特に僕は、前述の通りそんなに脚力がある人間じゃないし、膝を痛めやすいという致命的な欠陥がある。実はこういうサポーターを使ってやっと300㎞乗っているくらいだ

脚のストレッチはもちろん、肩回りや腕、体幹もかなり疲れているので、妥協せずにしっかり全身を伸ばす。例え疲れた感じがしなかったとしても、ストレッチをしないで寝ると翌朝ひどい目をみることもあるので、本当にストレッチはした方がいい。

 

3.機材・ウエア選びも慎重に

さて、ここまでタイトルにある通り「意識したこと」について書いてきたが、実際には機材やウエア選びも同じくらい(というかもっとかも?←)重要なことだ。

この点については第一に予算の制約がのしかかってくるし、その人の脚力や体質に依存するから、一概にこれがベストとは言えない。ただし、間違いなく言えるのは『自分がストレスフリーで走れる環境』をサドルの上に構築するのは必須だという事。それがDura-AceのカーボンロードなのかSORA組のドロハン化クロスなのかは人それぞれだと思うが、とにかく『自分基準』でストレスのない機材を選択した方がいい。

それはウエアについても同じで、少し肌寒いだけでも長時間となれば多大な体力を消耗するし、着心地の悪さは耐えがたいストレスになる。

愛着を持って使い倒す

これは逆に考えれば大きなメリットにも変えられるポイントで、自分のお気に入りの装備やライド環境を作ってやれれば、それを思い出すだけで辛いときも楽しむことが出来る。

「このタイヤのフィーリングは最高だ」とか「この着心地とフィット感はたまらないな」という様な、いつでも感じられるお気に入りポイントをいくつか持っておくと、景色やライド結果以外にも楽しみが出来ていい。この機材やウエアの楽しみだけは、自分で100%管理できる唯一の楽しみなので絶対に妥協してはいけない。

DSC_0553

ロングライドは天気や気候、道路状況など、自分ではコントロールしきれない領域に大きく左右される。自分の体調でさえ、100%管理することはできないと思う。僕ら人間が管理できるのは、唯一持っていく装備だけだろう。

最大限の準備をして、あとは神のみぞ知るサイコロを振って身を委ねる。その行き当たりばったりがロングライドの醍醐味だと思うし、だからこそ準備にこだわりがあるとどんな目が出ても受け入れられるし楽しめる。僕はそう思う。

4.最後に

まだまだ未熟な僕ですが、スポーツバイクに出会って3年間、自転車で日本を走り回って、知り得た情報や体得した技術をすべてぶつけたのが北海道一周でした。それが上手くいって嬉しかったし、その情報が誰かの参考になって、その誰かがよりライドを楽しめたら最高だと思ってこの記事を書きました。

趣味の世界に正解はないし、ロングライドは採取的には自分との戦いだから、僕が上手くいった方法が万人に通用するとは思いません。そもそも、僕と同じように『テント泊で毎日300㎞走りたい』なんて思う人がそうそういるとも思えません(笑)

皆さんの『楽しいこと』を『更に盛り上げる何か』にお役立ていただければ幸いです。

おわり

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