ツーリング記

【1話】友達『チャリで北海道まで行ったら面白そうじゃねw』からロードバイクを買い旅に出た話①

僕の自転車との出会いを、写真も少ないので文章のみでまとめてみました。

この旅は自転車に出会ったきっかけであり、僕にとっての『ぼくのなつやすみ』的なひと夏の思い出です。記憶がなくならないうちに何かに残しておきたくて、ブログに書きました。拙い文章の長編ですが、よろしければどうぞ。

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「なんか暇だし、大学つまんねえよなぁ~」

大学1年生の夏休み直前。部活をやめた僕は、特にすることもなく友人Tと自宅でだべっていた。

「夏休み、何か面白いことしたくね?」

今思えば、僕がそう問いかけたのがすべての始まりだった。眠いような、眠くないような、ぼんやりとした頭で会話をしていた。住宅街の一角にある僕のアパート周辺は、もうすっかり静まり返っていた。

T「そんならさ、チャリでどっか遠くまで行くの、面白そうじゃね?w」

ん?どうしてそうなった。

「お、いいじゃんw」

何か面白いこと、からチャリ旅が出てくるのは、正直訳の分からない思考回路だ。

しかし僕は不思議と賛同していた。自転車旅、なんか面白そうじゃないか。なんとなくそう思った。

「どこいく?」

T「んー、俺日本の北側行ったことないから、北海道とかどう?」

「お、いいねw」

まずいまずい、これ本当に行くことになっちゃうやつだぞ。

「距離も1000kmちょいか…。チャリって何km/hくらい出んの?」

T「わかんないけど、まえ乗ってた感じだと30km/hくらいはいけるよ」

高校時代にクロスバイクを持っていたらしいTはそう言う。

「速くね?んじゃ休憩入れても平均20km/hはいけるよな」

「1日走れば行動が12時間として…200km/日は堅そうだね」

T「そしたら5日あれば行けるのか」

T「寄り道しても、2週間あれば行って帰ってこれんじゃんw」

「意外と近いな北海道w」

「なあ、マジでチャリ買って行ってやろうぜw」

こうして、北海道への自転車旅が決定した。スポーツバイクなんて触ったことすらないけど、まあ何とかなるだろう。なにより、予定皆無の夏休み。ただ家に居たって暇すぎる。

…今考えれば、無知とは恐ろしい。素人が旅装備で200km/日を続けるなんて明らかに無謀だ。それでも僕らは、行けると信じて疑わなかった。

*** *** * *** ***

翌日。

夢半ばの記憶の中で、北海道に自転車で行くことが決まっていたような気がした。枕元のiPhoneに手を伸ばす。いつものようにカレンダーを開くと、夏休みに追加されていた『チャリ旅』の4文字が僕の視界に突き刺さる。そう、夢ではなかったのだ。

(ああ、本当に行くことになったのか

そうと決まれば、そうだ自転車を買わなくては。あれやこれやとネットで調べだす。

(へえ、まるいハンドルが付いてるのがロードバイクっていうのかな

(クロスバイクでもいいらしいけど、カッコいいからロードバイク買いたいなぁ。にしても、自転車高すぎw

(ふうん、旅にはランドナーという自転車がいいらしい。ただし価格は15万円近く…。流石に10万以上は出せないな。

 

それから、暇な時間に横浜市内の自転車屋に片隅から足を運んだ。

「うーん、旅ならやっぱりこの辺ですかねえ。」

「安いバイクでもいいですけど、毎日乗るならいいバイク買った方がいいですよ。」

いかにも知った風なオジサンが、あれこれ勧めてくる。ほんとうの事かは怪しいけど、何も知らない僕はとりあえず話に頷いておくしかない。しかし、どうにもピンとくるバイクはなかった。

というか、そもそも予算がないって言ってるんだから、高いバイク勧めても仕方がないのにね。自転車屋は案内が下手な人が多い気がした。最低ラインという10万円だって、僕にはもの凄い大金なんだ。

夏休みが始まろうという横浜はセミの声が煩くて、汗っかきの僕は出かけるたびに汗ばんだ。この暑さの中チャリ旅って、辛すぎないか?

そんなことより、早く自転車を買わなくちゃ。悩んで見て回って腹をくくり、ついに欲しくて買える自転車が見つかった。それがGIANT DEFY3。9万円程のロードバイクで、キャリアが付き、ある程度信頼性のあるバイク。何より見た目が気に入った。

店で紹介されて即決。コンビニでなけなしの10万円を引き出し、初めての1万円札の札束にひそかに興奮しつつ自転車屋に戻った。納車は一週間後だそうだ。

*** *** * *** ***

一週間後、いよいよ納車。

店のローラーに乗ってサイズ調整をし、いよいよ引き渡しだ。初めて手にしたロードバイクは、強い夏の日差しのせいか、あるいは僕の浮かれた心のせいか、ひと際輝いて見えた。

店から家まで約15km。早速自走で帰宅する。どんなに気持ちいいだろうかと待ち望んだ瞬間だったが、実は第一印象は微妙だった。

(え、なにこれめっちゃフラフラするじゃん

(てか速すぎブレーキ効かなすぎ…勝手に加速しないで頼むから!

(サドル硬すぎ…ケツ痛え

(これ自転車っていうより”バイク”だな…ヤバいものを手に入れてしまった

旅までに慣れておかないとと危機感を覚えたが、何せ出発まで時間がない。テストもあるし帰省もしなきゃいけないから、愛車に乗れる時間は殆どなかった。結局合計でも数十㎞しか乗らないまま、旅の前日を迎えることになった。

*** *** * *** ***

ロードバイク経験もさることながら、旅に関しても素人そのものだった。

「装備もいろいろ買わなきゃね」

T「だね。けどチャリ買ってもはや金がねえw」

「それなw」

T「もうネットで最安のを探して買うか」

T「服って何持ってく?」

「夏熱いし、半袖短パンに上着1枚あれば十分でしょ」

「雨が降ってもシャワーだと思って濡れればいいんじゃねw」

T「おう、それでいこうw」

「なんか旅っぽくていいよなw」

 

そろった装備は貧相なものだ。高校で使っていた野球用のウエアに、ネットで買った2000円のテントと寝袋。後はもう何とかなるっしょという気持ちで、ホームセンターとAmazonの数百円のやつで適当にそろえた。しかし何故かパニアバックだけは、ケチらずオルトリーブのバックローダー。(笑)

にしても自転車って本体が高いのに、ヘルメットやグローブ、鍵、ライト、ボトル、サングラスに空気入れと付随費用もバカにならない。格安品を買っているとはいえ、合計では数万円単位で金が飛んでいく。

(はあ、俺は旅がしたいだけなのに、予想以上に金がかかる…

(好きな人はいったいいくらかけているのだろう?全く、理解し難い世界だな。

思考回路がまさしく初心者のそれだった。

*** *** * *** ***

出発前夜。

忘れ物をするのが怖くて、夕方に僕の家に集合し2人で確認。僕はAviciiのThe Nightsをかけた。この曲は僕の旅ソングだ。『Live a life you will remember~♪』の歌詞に、僕の心は来る旅路への夢を膨らませた。間違いなく思い出に残る旅になる。そんな確信が僕にはあった。

Tと装備を確認しながら、パニアバックに着替えとシュラフ、100均の工具たちを詰め込んだ。着替えは1日のセットごとに袋に小分けしてある。袋のすれる音が部屋にこだました。パンパンになったパニアバックをキャリアにつけたあとは、テントとマットを縛り付ける。うん、馬鹿みたいに重いけど一応積み込むことが出来た。あとは走るだけ。

準備が終わり、近所の弁当屋でから揚げ弁当を買ってきて、Tと旅の行程の確認。国道4号線で仙台まで行き、仙台からは45号線で沿岸部を走り青森まで行く。青森からはフェリーで函館に渡ってゴールだ。明日は200km先の那須塩原が目的地。朝は早朝に出発して、可能なら那須より遠くまで走ってしまおうという作戦を立てた。

 

早起きに備え、さっさとベットに横になる。明日の天気予報は晴れ。さえ先の良いスタートになりそうだ。

(今更だけど、ふとした思い付きでここまで来ちゃうなんてな。

自室の天井をぼんやりと眺めながら、頭の中はあちこち思い巡らす。

(どんな旅路が待っているんだろう?

(200kmって意外と余裕だったりしてw

(函館の町はどんな町かな?

なかなか寝付けない自分が、遠足前の幼稚園児の様でふと可笑しくなってきた。まあいいさ、楽しい旅にしようじゃないか。

*** *** * *** ***

朝が来た。

朝といえばこれ、AviciiのHey Brotherをかける。ノリのいいリズムに、嫌でもテンションが上がる。旅の門出にふさわしい音楽だ。

朝の涼しげな空気で、胸をいっぱいにする。風になびく草木の音が心地よく、夏の匂いをしっかりと感じた。準備は済ませているから、朝ご飯を食べていざ出発。

さあ、いったいどんな世界が待っているのだろう…!

つづく(2話はこちら)

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